検索エンジンやチャットボットがAIで刷新される中、ウェブブラウザーもその波に乗ろうとしている。Operaはバルセロナで現地時間3月3日に開幕したMobile World Congressで、ユーザーの作業を自動化するAIエージェント「Browser Operator」を発表。「ユーザーの代わりにさまざまな作業をこなすブラウザー向けAIエージェントをプレビュー公開する」と「X」に投稿した。
同社はプレスリリースで、「Browser OperatorはAIをチャットボットから抜き出し、直接ブラウジングの流れに組み込む」と述べた。「これは、ブラウザーのより広範な役割にも沿っている。ウェブを閲覧中のユーザーを支援し、時間をより有効に使うためのツールを提供するというものだ」
ユーザーは、Browser Operatorに対して自然な言葉で指示ができる。例えば、Nikeのサイズ12の白いテニスソックスを10パック購入してほしいと伝えれば、自動で取引が進む。
これは、複雑で多段階のタスクを自律的にこなすAIシステム、いわゆるエージェンティックAIの普及を目指すテクノロジー企業らの取り組みの1つだ。
Operaは、自社のAIエージェントが、他の実験的なエージェント型ブラウジングと異なり、ネイティブなソリューションを採用し、ブラウジングの様子をスクリーンショットや動画で記録する必要がないと説明している。また、ユーザーデータをデバイス内に保存することでプライバシー保護を強化しているという。
現在、Browser Operatorはプレビュー版として提供されているが、近いうちに正式リリースされる予定だ。これがブラウザーとしては初の試みかもしれないが、他社もエージェンティックAIの導入を進めている。例えば、OpenAIが2月に発表した「Deep Research」ツールは、推論能力を活用して膨大な情報を分析し、人間であれば数時間かかる作業を数分で完了できるとされる。
一方、Microsoftは先週、新たなAIモデル「Magma」を発表した。これはロボットがより知的に状況を理解し、行動できるよう設計されたもので、従来のAIとは異なり、さまざまな種類のデータを同時に処理する。Microsoftはこれを、ユーザーに代わってタスクを計画・実行できるエージェンティックAIへの大きな一歩と位置付けている。
ABI Researchのアナリスト、Reece Hayden氏は、Googleなどの検索エンジンが大規模言語モデル(LLM)を取り入れ始める中、エージェンティックAIは生成AIの次のステップとして広く見られていると述べる。OperaのようなエージェンティックAIブラウザーの導入は、ユーザー体験を革新し、長期的な普及を促す要因になると同氏はみている。
「消費者が自動で旅行を予約したり、他のユースケースを実行したりすることで、これはブラウザーに関する大きな革新とみなされるようになるだろう」とHayden氏は語る。「これが画期的であるもう1つの理由は、スマートフォンに新たなユースケースを提供し、オンデバイスAIに合理性をもたらす点だ。出荷台数の増加につながる可能性もある」
同氏は、今後さらに多くの検索エンジンやブラウザーが同様の機能を模索する一方で、データのプライバシー、正確性、制御に関しては「甚大なリスク」が依然として存在すると指摘する。「印象悪化(のリスク)を踏まえ、すべての関係者には慎重な対応が求められる」(同氏)
Operaのプレスリリースこの記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)