5万円する「手書きできる最新Kindle」は買いか--実機レビュー

Kyle Kucharski (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2025年03月03日 16時19分

 Amazonの「Kindle Scribe」は、従来の電子書籍リーダーとしての機能に加え、スタイラスペンによる手書き機能を備えた2in1デバイスだ。電子書籍リーダーとしての使いやすさに加え、筆記機能も完成度が高く、この2つを融合させている点が特徴的だ。

Kyle Kucharski/ZDNET
Kyle Kucharski/ZDNET
※クリックすると拡大画像が見られます

 本体はスタイリッシュで軽量。太めのグリップがあるおかげで右手でも左手でも安定して扱える。上下をひっくり返しても画面が自動で回転するので、向きを気にしなくていいのも便利だ。

Kindleシリーズが3月4日まで最大1万5000円引き(Amazonで価格をチェック)

 とりわけ目を引くのは「アクティブキャンバス」だ。これは、本の余白に手書きしたり、テキストをハイライトできる機能で、線の幅やブラシの形状も自由に変更できる。しかも、本のテキストとは別のレイヤーにノートが保存されるため、後から編集しても元の文章が崩れない。

 なお、メモを書きすぎると、内容によっては気が散ることもありそうだ。そこで私は「スティッキーノート」という別の機能をよく使った。これは、テキスト上の小さなアイコンをタップするとメモウィンドウが開き、書き終わるとアイコンだけ残せる仕組みで、必要なときだけメモを確認できるため便利だ。

 Scribeの魅力はペンの書き心地にもある。ReMarkable Paper Proのようなハイエンドタブレットと肩を並べるほどスムーズで、ほとんどラグを感じない。ペン先は柔らかく、本物の鉛筆のようにわずかな摩擦と静音性がある。適度な重みもあって高級感があり、本体側面に磁石で取り付けられる。ただし、位置合わせを誤ると外れてしまう点には注意が必要だ。

 字が上手でなくても、手書きをきれいな文字に変換し、フォントやサイズを後から編集できる。とりあえず書き殴ってもあとで整理し直せるのが便利だ。

Kyle Kucharski/ZDNET
Kyle Kucharski/ZDNET
※クリックすると拡大画像が見られます

 ディスプレイは他のKindleと似ているが、300ppiの高解像度で細かい文字までくっきり表示される。バックライトは色温度の調整も可能で、セピア調からクールな白まで好みに合わせられるのも嬉しい点だ。

 バッテリーは、1日30分の読書なら最大12週間持つとされているが、ノートを頻繁に取るとそのぶん消耗は早まる。とはいえ、数週間テストしたところ、充電は数回しかせずに済んだので、一般的な使い方なら1回の充電で数週間はもつと思う。

 ストレージは16GB、32GB、64GBの3種類。電子書籍なら数千冊を保存できる。さらに、手書きのノートの保存も可能で、複数ページからなる「ノートブック」にまとめられるうえ、フォルダーでさらに整理できる。

Kyle Kucharski/ZDNET
Kyle Kucharski/ZDNET
※クリックすると拡大画像が見られます

 メモ帳としてはチェックリストや日/週プランナー、トラッカー、ストーリーボードなど、いろいろな「紙」テンプレートを選べるので、スケジュール管理やアイデア出しにも便利だ。ブラシやマーカーの種類は多くないが、そのぶん動作は非常に軽快で、ラグや誤動作は一切感じなかった。

 もちろんAI機能も搭載されていて、ノートブック内の最大15ページを自動で要約し、主要なポイントだけを抜き出してくれる。今回のテストでは、一般的なAIサービスと比べてほぼ同等の精度で、複雑な内容でもそれなりに正確だった。ただし内容が難解になると、要約が少し一般的な表現になることもあった。「Clippings」フォルダーには、複数の本でハイライトした箇所が自動的にまとめられるので、重要な部分を一気に見返せるのが便利だ。

●本に積極的にメモ書きする人向け

 本機はKindle Scribeは本に積極的に書き込みたい人、落書きやメモを取るのが好きな人、「とりあえず書き留めておきたい」というタイプの人に向いている。

 だが、16GBモデルは5万6980円、32GBモデルは5万9980円、64GBモデルは6万4980円だ。価格が上がると、カラー表示や多彩なブラシ機能を備えた「ReMarkable Paper Pro」も比較候補に入ってくる。もし電子書籍を読むだけで、ページ上へのメモやハイライトが不要なら、Scribeは手になじむ形状、明るく読みやすい画面、長持ちするバッテリーを備えたトップクラスの電子書籍リーダーと言える。

Kindleシリーズが3月4日まで最大1万5000円引き(Amazonで価格をチェック)

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]