世界最強だった日本の通信、今や「安いだけの国」に--ソフトバンク社長が値下げ一辺倒に危機感

 ソフトバンクの宮川潤一社長は2月10日の決算会見で、菅義偉政権以降、値下げ一辺倒となっている携帯業界について「せっかく世界で一番強かった通信が、今やただ安いだけの国になってしまった。開発力も本当に落ちてしまっている。いずれ健全な形に戻さなければならない」と述べた。

 宮川氏の発言(全文)は次の通りだ。

 「携帯電話事業を運営するうえで、一番大きなコストの一つが電気代です。これは年間の運用コストとして確実に効いてきますし、ここ数年で右肩上がりに上がり続けている。しかも、その規模が100億円単位で増えています」

 「もちろん、いろんな工夫をしながらコストを吸収していますが、それにも限界があります。そして、従業員の給与も上げていかないといけません。今年もベースアップをやる予定ですし、取引先やその従業員のことまで含めれば、業界全体を支えていく必要があります。でも、ただひたすら値下げの議論ばかりでは、この仕組みを支える構造にはなりません」

 「今、挙句の果てには、5Gの投資を抑えたり、6Gの投資を待ちながら『5Gはこんなもんだろう』という言い訳をしているのが僕は本当に悲しくて仕方がないと。であれば、健全な形で、物価の上昇に合わせた適切な料金改定は、どこかでやらなければならないと思っています」

 「とはいえ、寡占とはいえ4社いる業界ですから、4社の中で1社だけが先に動くのは相当勇気がいる。それも、業績が我が社だけ増収増益しているとなると、『この環境でなぜソフトバンクだけが踏み切るのか』ということに話がなってしまうので、今は動くつもりはありません」

 「ただ、中長期的には、もう一度通信業界を健全な形に戻さないといけない。せっかく世界で一番強かった通信が今やただ安いだけの国になってしまった。開発力も本当に落ちてしまいましたら、これを僕は本当は危惧してるという視点で、どこかで声を上げるつもりでおります」

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