OpenAIはウェブ上のコンテンツを横断的に取り込み、数分で詳細なレポートにまとめる「Deep Research」を発表した。これは同社の最新モデル「o3」のバージョンを活用している。
同機能は、リサーチの自動化によって作業者の時間を大幅に節約できる。しかし、こうした技術の基盤となるAIモデルは、労働者を代替できるのだろうか。Deep Researchの見解は「イエス」だと示唆している。
X(旧Twitter)上でAIに関する有益な情報を発信しているMin Choi氏は、Deep Researchに対し「OpenAIのo3推論モデルが人間を置き換えると思われる20の職業を、確率の高い順に表形式でリストアップしてほしい」とリクエストした。
その結果をChoi氏はXに投稿し、この投稿は現在までに約98万4,000ビューを獲得している。
Deep Research just dropped a wild list...
— Min Choi (@minchoi) February 4, 2025
20 jobs that OpenAI o3 will replace humans. pic.twitter.com/rB45IUqheC
Choi氏の投稿によれば、Deep Researchは7分間で24の情報源を参照したうえで、AIが人間より優位に立てる理由や、その職業が置き換えられる確率などを含む表を作成した。Choi氏はこのやりとり全体へのリンクも共有しており、詳細な表を確認できる。
確定申告シーズンと重なるタイミングで表のトップに挙がったのは、確率98%で自動化されるとされた「税務申告書作成担当(tax preparer)」だ。ChatGPTはこれを「ほぼ自明な自動化」だと位置づけている。
ChatGPTによると、AIは税法や計算処理を素早くこなせるため、人間よりもはるかに効率的だという。実際、既にAIを活用した税務ソフトも存在することが、この主張の裏付けだと指摘している。
その他に挙げられた職業としては、90〜95%の確率でデータ入力担当、テレマーケター、経理事務、パラリーガル(法律事務補助)、スケジュール調整担当。80〜88%の確率で文字起こし担当者、校正者、コピーライター、カスタマーサービス担当。70〜78%の確率でメールマーケター、コンテンツマーケター、SNSマネージャー、翻訳者、ITサポート担当、リクルーター。60〜68%の確率で市場調査アナリスト、旅行代理店スタッフ、そして家庭教師や塾講師などと続いた。
挙げられた職種はいずれも、AIが自律的に得意とする技術的スキルに大きく依存している。たとえば、文字起こしや校正などはAIでも十分にこなせるため、人間に求められるハードスキルの必要性が低くなる可能性がある。
さらに、AIは大量の資料を分析して結論を導き、それに基づいて行動することも可能だ。そのため、ソーシャルメディアマネージャーやリクルーター、旅行代理店、マーケットリサーチアナリスト、アポイントメントスケジューラー、ブックキーパー、パラリーガルなど、分析や意思決定のプロセスが業務の中心となる職種はリスクが高いと見られている。
では、この調査結果は上記の職種に就く人すべてが仕事を失うことを意味するのか。結論から言えば、その可能性は低い。ChatGPTの分析は、あくまでAIがハードスキルを効率よくこなせるかどうかに焦点を当てたものにすぎない。コミュニケーション能力や批判的思考、問題解決力、リーダーシップ、時間管理、対人スキルなどのソフトスキルは依然として重要で、AIには再現が難しい分野だ。
さらに、組織としてもAIを大規模に導入できる態勢はまだ整っていないのが実情だ。
アクセンチュアの最近のレポートによると、経営幹部がAIを広範囲に導入するうえで、投資対効果の不透明さやインフラ上の制約、従業員との連携不足など、多くの課題が残されているとされる。
もしDeep Researchで同様の質問をしたり、別のトピックを深掘りしたい場合は、月3万円のChatGPT Proサブスクリプションが必要だ。料金は高額だが、このプランにはChatGPTとSoraへの無制限アクセスや、ブラウザ上で予約などの基本作業を代行するAIエージェント「Operator」(現時点では米国のみ)へのアクセスといった特典が含まれる。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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