一見メガネなスマートグラス「Even G1」は日常使いに最適な一品だ

Prakhar Khanna (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2025年02月07日 07時30分

 Even Realitiesのスマートグラス「Even G1」を手に入れてから数カ月がたった。毎日かけていたわけではないが、合わせれば30日間ほどは使っていると思う。とてもスタイリッシュで「ガジェットには見えない」と言うのが友人たちの評だ。これは、Even G1の最大の魅力でもある。

Even G1をかけた筆者 提供:Prakhar Khanna/ZDNET
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 これまでにさまざまな種類のスマートグラスが登場した。カメラとAIテクノロジーを搭載した「Ray-Ban Metaスマートグラス」、Boseのサングラス型スピーカー、TCLの「RayNeo」ARスマートグラスなどが脳裏に浮かぶ。しかし、Even RealitiesのEven G1はそのどれとも違う。ディスプレイとマイクは搭載しているが、スピーカーとカメラはない。Even G1は最先端のテクノロジーを前面に押し出すのではなく、必要な機能を過不足なく備えた日常生活にちょうどいいスマートグラスだ。

 まだ改良の余地はあるが、この数カ月間、アップデートのたびに使い勝手が向上してきた。スマートグラスに599ドル(約9万1000円)は出せないという意見もあるだろうが、Even G1は実にそそられるデバイスだ。

  1. 未来を感じるガジェット
  2. Even G1の主な機能
  3. 買うべきか?

未来を感じるガジェット

 Even G1は「Holistic Adaptive Optical System(HAOS)」を搭載している。仰々しい名前だが、要するに2つの小さなディスプレイのことだ。この記事に掲載した画像を見比べてほしい。Even G1の左右のレンズには、情報が表示される長方形の小型ディスプレイが組み込まれているが、この部分は斜めからでないと目立たない。つまり、他の人からは通常、レンズに組み込まれたディスプレイは見えない。

 頭を上に傾けると、マイクロLED光学エンジンが解像度640×200ピクセルのディスプレイに緑色のデジタルテキストを表示する。この数値は、スマートフォンの解像度などと比べると物足りなさを感じるが、実用性は非常に高い。昼間でも視認性は高く、細部もしっかり確認できる。

Even G1をかけた筆者の斜め横からの近接写真 提供:Prakhar Khanna/ZDNET
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 視線を上げる角度はアプリで調整できる。筆者は20度に設定しているので、頭が20度上に傾いたことをEven G1が検知すると視界にディスプレイが現れる。ダッシュボードに表示されるのは現在の時刻、メモ、通知の数などだ。目の前に情報が出ていると前が見にくくなりそうだが、ディスプレイは常時表示されているわけではなく、意識的に呼び出す仕様なので邪魔にはならない。

 Even G1のデジタルレンズは2枚のレンズを貼り合わせたものだが、普段かけている普通のメガネと比べて重いとは感じない。他のかさばるスマートグラスと比べれば、快適に装着できる。筆者が愛用しているRay-Ban Metaですら、普段使っているサングラスより重い。レビュー期間にノーズパッド(鼻あて)による疲労は感じなかった。

 重さはフレームよりもアーム部分にかかっているため、装着感は非常に良い。別途150ドル(約2万3000円)を払えば度付きレンズに交換できるので、筆者がそうしたように、通常のメガネとしても使える。

 本体にはバッテリー、ジェスチャーパッド、ネジなしのヒンジ、マイク、そしてスマートフォンのアプリとBluetoothで通信するためのアンテナが搭載されている。当初は丸形のフレームしかなかったが、長方形のフレームを使用したモデル(Even G1 B)も追加された。フレームはマット仕上げの丈夫なマグネシウム製だ。アーム部分はグリップ力を高めるためにシリコンでコーティングされている。

 本体を入れるケースは通常のメガネケースのように見えるが、最大2.5回分の充電ができる。ただ筆者が使ったものは動作がやや不安定で、1回目の充電でも100%まで充電されないことが何度かあった。

Even G1の主な機能

 Even G1には主に6つの機能がある。各機能のパフォーマンスと改善してほしい点をまとめた。

1.通知

 Even G1がスマートフォンに接続しているときは(ほぼ常時)、ダッシュボードに通知数が表示される。通知の内容は頭を上に傾けることで一時的にチェックできるほか、タッチパッドでジェスチャー操作をすれば後からでも確認できる。

 便利な仕組みだが、不満点が2つある。1つは通知に返信できないことだ。口頭でメッセージを伝え、それをEven AIが文字に起こして返信してくれるとうれしい。もう1つの不満は、通知を手動で消さなければならないことだ。スマートフォンで通知を確認しても消えないので、ユーザー体験が損なわれる。

Even G1のフレーム部分 提供:Prakhar Khanna/ZDNET
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2.翻訳

 言葉が通じない場所を旅行するときは便利な機能だ。筆者もフランス語とスペイン語のわずかな知識を使って試してみたが、正確な翻訳結果が得られた。13の対応言語から1つを選び、その言語で相手が話すとEven G1のディスプレイに翻訳結果が表示される。

 しかし、この機能は一方通行だ。相手が何を言っているかは分かるが、相手も翻訳デバイスを持っていなければ会話は成立しない。実際の場面では、相手が話した言葉はEven G1に翻訳してもらい、自分が話した言葉はスマートフォンを使って相手の言語に翻訳するといった工夫が必要になるだろう。

3.メモ

 「QuickNote」機能を使ったリマインダーも便利だ。右側のアームの先端についたタッチパッドを長押しすると、Even G1のディスプレイに「QuickNote Recording(QuickNoteの記録中)」と表示される。この機能は、やるべきタスクや思いついたアイデアを記録するために1日を通じて頻繁に使った。

 記録したメモは、次に視線をあげたときにダッシュボードに表示されるが、表示されるメモをアプリで選択できるようにしてほしい。後で見返すためにアイデアをメモすることもあるが、その日が終わる前に片付けなければならないタスクもあるからだ。

提供:Prakhar Khanna/ZDNET 提供:Prakhar Khanna/ZDNET
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4.ナビゲーション

 この機能は、自転車乗りなら気に入るはずだ。Even G1をかけていれば目の前のディスプレイに次の進路が表示されるため、いちいちスマートフォンで確認する必要がない。ナビ情報は視線を向けなくてもディスプレイに常時表示されているので、ウォーキングやサイクリングの良い相棒になる。難点は、Even Realitiesのアプリで目的地を設定する必要があることだ。

 個人的にはGoogleやAppleのマップ機能と統合し、音声コマンドでEven G1に案内してもらう方がいい。マイクが内蔵されているので、不可能ではないと思う。

5.テレプロンプト

 Even G1はプレゼン時のテレプロンプターにもなる。ディスプレイに表示された文字を読み上げていても、聴衆には気づかれないだろう。アプリに台本を追加するだけで、その内容がディスプレイに表示され、読んでいる場所がリアルタイムで太字になる。この機能はEven G1の機能の中でも特に完成度が高い。

6. Even AI

 Even AIは「Perplexity」を利用して計算や単位変換といった簡単なタスクを実行できる。しかし処理速度は遅い。スマートフォンを使った方が早いと感じるほどだ。この機能はまだベータ版の域を出ていない。

買うべきか?

 第1世代のデバイスの宿命として、Even G1も気軽に試せないという問題を抱えている。まず本体が599ドルもする上に、度付きレンズ(150ドル)やサングラスとして使うための後付けシェード(100ドル、約1万5000円)は別売だ。しかも、ほとんどの機能はまだ成熟しておらず、改良の余地がある。

 ハードウェアの出来は非常にいい。バッテリーも1日は余裕で持つため、筆者は毎晩、寝る前に充電している。発売以降、Even G1はアップデートを重ねており、そのたびに使い勝手が向上している。製品の構想はいいと思うので、今後も機能が改良され続けるなら、期待値込みで注目度は高い。ダッシュボードのカスタマイズ、「Googleマップ」との連携、音声コマンドによるナビゲーションといった機能が追加されれば、さらに良い製品になるだろう。

 今度も動向を追っていきたい将来有望なスマートグラスだ。

Even Realities

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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