石破茂内閣でデジタル大臣に就任した平将明氏は10月2日の記者会見で、12月2日の保険証廃止を堅持する理由を説明した。
前政権は、12月2日に健康保険証の新規発行を停止し、以降はマイナンバーカードに保険証機能を付与した「マイナ保険証」に一本化することを決めた。
この方針について、内閣総理大臣の石破茂氏、および官房長官の林芳正氏は総裁選の期間中、国民の納得が得られないのであれば、健康保険証の廃止中止も検討する旨の発言を残していた。
こうした発言について平氏は「『12月2日に紙がなくなって、全てデジタルにもっていかれたら困るよね』という趣旨」と説明。有効期限のある健康保険証は12月2日を過ぎても引き続き利用できるほか、マイナンバーカードを持っていない人には自動的に紙の「資格確認書」が送付されるため、「現行の方針でもデジタルと紙、双方の選択肢が残されている」と述べた。
つまり、保険証廃止を堅持する方針と、石破氏らの発言に齟齬はないとの説明だ。一方でマイナ保険証について、石破氏から特段の指示は受けていないことも明かした。
3月24日には運転免許証とマイナンバーカードを一体化させた「マイナ免許証」がスタートする。なお、3月24日以降も「従来の免許証」は存続し、どちらか片方を持ち歩けば免許不携帯になることはない。
なぜ免許証は残すのに、保険証は廃止するのか。この質問に対して平氏は次のように回答した。
「医療にかかる社会保障全体の金額のボリューム感をぜひご理解いただきたい。そこでデジタル化するときに出てくるメリットも桁が違う」(平氏)
政府は、マイナ保険証を医療DXの基盤とする方針だ。今後は「電子カルテ情報の共有」「医療費助成の受給者証の一体化」「診察券との一体化」なども進める。さらに、スマートフォンへのこれら機能の搭載も今後可能になる。
そもそも平氏は2020年、「デジタル庁創設に向けた中間提言」を座長代理として取りまとめた人物だ。この提言が菅内閣におけるデジタル庁の創設につながった。
コロナ禍で日本のデジタル後進国ぶりが明白となった際に、行政のDXを進めるには「マイナンバーカードが普及しないとどうにもならない」と悟ったという。
一方で「デジタルで何も解決できるとは思っていない」とも語る。「アナログとのハイブリッドでやるべき。ただしデジタルはデータからいろいろな付加価値でてくるので推進する。なぜなら日本はリソースも限られている」と説明する。
前デジタル大臣を務めた河野太郎氏は、平氏について「信頼して任せられる人物」と語っていた。
なお、平氏は「Web3」にも精通した人物だが、会見で自ら積極的にWeb3やブロックチェーンについて発言することはなかった。一方で記者から問われた際には「Web3やブロックチェーンには、日本の潜在価値を最大化するために活用する方法がある。分散型ID(DID)という仕組みもある」と述べた。
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