バルミューダは8月8日、2024年12月期第2四半期(2024年1~6月)の決算を発表した。売上高は前年同期から5億8400万円増の63億3000万円、営業利益は同6億9500万円の損失から、9900万円の損失と赤字幅を縮小した。経常利益は5億9700万円の損失から、3300万円の黒字、中間純利益は13億8500万円の損失から3100万円の黒字となった。代表取締役社長の寺尾玄氏は「収益性改善施策が有効に働き、半期の最終損益は2年ぶりに黒字に転換した」と説明した。
売上高は、地域別では海外、製品カテゴリー別ではキッチン関連が増加したことによって増収、営業利益、経常利益などの各段階利益は収益性改善施策の効果により大きく改善した。
寺尾氏は「前期は携帯事業終了による特別損失があり、13億8500万円という大きな赤字を出したが、今期は大幅な良化を実現した。バルミューダにとって最も重要な数字と位置づけている売上総利益率は、2023年の段階で29.9%、2024年は30.4%とほぼ同水準だが、平均の為替レートは、2023年は1ドル135円、2024年は152円と大きく異なっている。この中で、同等の売上総利益率を保てたのは大きなポイント」と今期を振り返った。
同社では、収益性改善施策として、部品レベルでのコストダウンから物流での工夫など、数多くの施策により、中間期にて黒字転換を実現。「売上規模に応じた在庫の適正化を1年がかりで実施してきたが、かなりよい進捗を示している。固定費の圧縮は、人員数を適正化し、これはほぼ完了したと考えており、第2四半期からは新たな採用活動なども始まっている」(寺尾氏)と進捗を説明した。
人員体制については、「実質的に最も数字が良かった2020年は126億円を売上、130人で運営していた。今期は128億円の売上を目論んでいるのに対し、6月末段階での人員数は129人。バランスとしてはとても良い状態に持ってこられたと考えている」(寺尾氏)と示した。
製品ラインアップについては「さまざまな施策を打つ中でも新商品の投入が非常に大きい。ここをいかに活発にやっていくのかが大きなテーマだった。もちろんただ商品を出せばいいわけではなく、魅力的な商品を現在の為替レートに照らし合わせ適正な原価で作り上げ、みなさまにお届けすることが大事」(寺尾氏)と重要性を説く。
第1四半期ではトースターの新ラインアップ、第2四半期では扇風機のラインアップ、電気ポットの新色などを展開。「海外での新商品投入が数字の良化に大きく貢献している。韓国では、2023年に日本で発売し人気となったホットプレートを発売し、非常に良好な売れ行きを示している。今期の韓国における数字は2023年に比べとても良くなっているが、その理由は、これらの新商品投入戦略がうまく効いたからだと考えている」(寺尾氏)と分析した。
また8月に日本で実施した値上げについては「平均すると9%程度の値上げをしている。これは為替の変動に対応するものであって、売上総利益率を確保するための施策。これが消費マインドにポジティブに働くとはあまり思えず、売上量は若干下がると考えている」(寺尾氏)と説明。
今後については「引き続き積極的な新製品を投入していこうと考えている。開発は順調に進んでいるので、事業構造自体を変化させなければならない。その中で1つのテーマは海外の売上をいかに伸ばすかということ。その中でも非常に重要な地域と考えているのは米国。米国市場に参入したタイミングでパンデミックが始まり、体験型のバルミューダの商品を十分に消費者の方々にお伝えできないまま数年が過ぎてしまった。ここを強化し、ブランドの認知を上げていきたい」(寺尾氏)と今後の施策を話す。
また、研究開発を続けている小型風力発電機については「なかなか新しいニュースを出せていないが、着実に進捗している。明瞭なビジネスプランも持てるようになってきたし、性能もアップしてきている。この小型風力発電機は、私たちが思っている中で最大の可能性と捉えているプロジェクト。今後の状況を見ながら、慎重かつ大胆に進めていきたい」(寺尾氏)と言及した。
通期業績予想については、売上高が128億円(期初予想は132億円)、営業利益は3000万円(同1億5000万円)と引き下げた。「黒字に転換した中間期を受け、『なぜ』と思われるかもしれない。中間期までは非常に大きな努力を払い、少しでも良い数字を作ろうとやってきたが、円ドルのレートが期初に立てたものと大きく乖離があった。この違いを織り込むと良化してきているとは言え、油断するタイミングでは全くなく、より気を引き締めてやっていかなければならないと考えている」(寺尾氏)と慎重な姿勢を見せた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?