KDDI、通信と付加価値サービスのシナジーが成長支え増収増益--「WAKONX」を加速

 KDDIは8月2日、2025年3月期第1四半期決算を発表。売上高は前年同期比4.2%増の1兆3891億円、営業利益は前年同期比3.9%増の2770億円と、増収増益の決算となった。

決算説明会に登壇するKDDI 代表取締役社長 高橋誠氏 決算説明会に登壇するKDDI 代表取締役社長 高橋誠氏
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通期予想に対し、順調に進捗。増収増益となった
通期予想に対し、順調に進捗。増収増益となった
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 代表取締役社長の高橋誠氏は、同日に実施された決算説明会で「通期予想に対する進捗率は、売上高については24.1%、営業利益については25%で、それぞれ順調に推移している」とコメント。連結営業利益の増減要因については、マルチブランド通信ARPU収入、金融エネルギー事業、ローソン持分法利益、DXビジネスセグメントでプラスとなり、楽天モバイルからのローミング収入がマイナスになったと説明した。

通信ARPU収入とビジネスセグメントが成長を見せた 通信ARPU収入とビジネスセグメントが成長を見せた
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 続いて高橋氏は中期経営戦略について、各トピックの説明を行った。

 通信品質に関しては、高速5GのSub6基地局数を3万9000局開設済みであり、さらに優位性のある周波数配置を有効に活用して、Sub6の本格利用フェーズを目指す。また、Starlink活用による「山小屋Wi-Fi」、フェスWi-Fi、富士山や海上でのWi-Fi利用など、ユーザーの日常だけでなく、非日常のシーンでもエリア展開を進めていくとした。

 生成AIにおいては、大規模計算基盤の整備、LLM構築、ソリューション提供の3つの領域で、パートナー企業との取り組みを進めている。大規模計算基盤の整備については経済産業省からの補助金を活用し、中長期で1000億円規模の設備投資をしていく予定だという。

 またLLMの構築については、ELYZAやNICTと連携し、オープンモデルを活用した日本語LLMを開発していく。さらに7月、野村総合研究所、ELYZAと3社で協業を開始。企業の生成AI活用を促進していくほか、グループ会社のアルティウスリンクとの連携で、コンタクトセンターを高度化していくという。

 またパーソナルセグメントにおいて、成長基盤となるスマートフォン稼働数は増加傾向にある。解約率は、マルチブランドにおいては増加が見られるが、メインブランドのauにおいては低水準を維持。ブランド別ARPU収入も、auとUQモバイルにおいて伸びているとした。高橋氏は「通信と付加価値によるシナジーを推進していく」とし、金融サービスとセットになったauマネ活プランの成長と、auマネ活プランによる通信ARPUの増加について触れた。auマネ活プランにより、auじぶん銀行のアセットも成長しているという。高橋氏は、特に住宅ローンが好調を見せていると補足した。

ビジネスプラットフォーム「WAKONX」の取り組みを加速

 ビジネスセグメントにおいてもパーソナルセグメントと同様、通信に付加価値を加える戦略により、グロース領域が二桁成長を牽引しているという。

 DXを支援するビジネスプラットフォーム「WAKONX」においては、物流DXの事例を紹介。伊藤忠商事と共にデジタルを活用した共同配送の実現に向けて検討を開始しているほか、椿本チエインと提携して設立したNexa Ware(ネクサウェア)において、倉庫の自動化に向けたサービスを提供していく。

物流DXの事例 物流DXの事例
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 高橋氏は伊藤忠商事、豊田自動織機、三井不動産、三菱地所と提携したフィジカルインターネットの事業化についても言及し、「物流インターネットは通信におけるパケットのような仕組み。当社はフィジカルインターネットのサービス監視、通信環境整備、貨物のモニタリングを行い、物流におけるドローンやトラックなどを、24時間365日しっかり監視できるような世界観を目指している」と語った。

 デジタルBPOについては、グループ会社のアルティウスリンクを中心に、データとAIを活用して顧客の課題解決を進めていく。ELYZAやフライウィールと連携し、「Microsoft Copilot」のサポートリソースを保有している強みを生かして、サービスの高度化を推進していくという。

データとAIを活用し、顧客の課題解決を進めていく データとAIを活用し、顧客の課題解決を進めていく
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 高橋氏は最後に、ローソンの株式取得状況について発表した。7月にローソンの非上場化を完了させており、9月にスクイーズアウト完了を予定している。今後はローソン、三菱商事、KDDIの3社での施策を検討中だという。


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 また高橋氏はNTT法について、「NTT法廃止が議論されているが、当社は時代の変化に合わせてNTT法を強化していくべきであると、引き続き主張していくスタンスだ」と言及した。

2025年3月期第1四半期決算説明会

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