Appleは日本時間6月11日未明に「WWDC24」の基調講演を開催した。初の生成AI関連の取り組みとなる「Apple Intelligence」や、「visionOS 2」「iOS 18」「iPadOS 18」「macOS Sequoia」などを発表した。
Apple Intelligenceは、iPhoneやMac、iPadで利用できる無料のAI機能だ。iPhone 15 Pro(無印のiPhone 15は非対応)とMシリーズチップを搭載するMac、iPadで利用できる。米国で2024年秋にiOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaの一部としてベータ版の提供を開始し、他言語への対応は2025年を予定している。
基調講演では多くの機能が紹介されたが、要約すれば「賢いユーザーの相棒」だ。曖昧な指示だけであらゆる操作を手助けしてくれる。
最も目を引いたのが、Apple Intelligenceで刷新された「Siri」だ。曖昧な指示だけで、さまざまなアプリを横断した複雑なタスクをこなせる。
具体的には「土曜日のバーベキューで撮った写真を母に送って」と指示すれば送れるし、「ニューヨークでピンクのコートを着ている私の写真を表示して」と言えばその写真を写真アプリから探して表示する。さらに「その写真を明るくして」と言えば指示通りに調整してくれる。さらに「今ディスプレイに何が表示されているか」も理解し、「直前に表示した免許証の写真から番号を抜き出してフォームに自動入力する」といったタスクもこなせる。
「メモ」や「電話」アプリでは、音声の録音に対応し、さらに録音した音声をAIが書き起こし、要約してくれるようになった。また、画像生成AIでメッセージの絵文字を自作したり、手書きの雑なイラストから立派なオリジナル画像を生成できるようになった。
文章作成を手助けする機能も搭載する。「書き直し」機能では、文章により独創性やユーモアをもたせたり、文法、言葉の選択、文の構造をチェックする「校正」機能も備える。
このほか、写真の不要な被写体を消去するGoogle Pixelシリーズの「消しゴムマジック」のような機能を搭載。通知の優先順位付け、スケジュールの管理などにもAIを活用できる。
これらは「あらゆる段階でプライバシーに配慮」しており、基本的にはオンデバイスで動作する。しかし、オンデバイスの能力が足りない場合は、Apple独自のプライベートクラウドの演算能力を利用する。
これらAppleの取り組みは「始まったばかり」であり、今後革新的な機能が続々追加されるという。
このほか、2024年内をめどに、iOS 18、iPadOS 18、macOS SequoiaにOpen AIの「GPT-4o」を統合する。これらデバイスのユーザーは無料でGPT-4oにアクセスできる。具体的には、SiriがGPT-4oの知識で回答できるようになる。また、プライバシーに配慮し、GPT-4oに個人データを渡す場合には、その都度ユーザーに許可を求める。
ゴーグル型デバイス「Vision Pro」を日本で6月28日に発売すると発表した。価格は税込59万9800円で、6月14日から予約注文できる。
さらに「visionOS 2」も発表。Macの仮想ディスプレイの表示面積を拡大し、4Kディスプレイ2枚分の情報を表示できるようになった。さらに、既存の2D写真を3D写真に変換したり、通勤電車でVision Proを操作できるモードも加わった。
iPhone向け次期OSのiOS 18では、アイコンをホーム画面の好きな位置に配置でき、アイコンの色をユーザーが自由にカスタマイズできるようにもなった。さらに、個別アプリをFace IDやパスワードでロックできる機能も加わった。
また、ゲーマー向けに「ゲームモード」を搭載。フレームレートを維持するためにバックグラウンド処理を最小限に抑え、さらにAirPodsやコントローラーの遅延も低減させる。
iPadOS 18では、前述のiOS 18の新機能のほか、待望の「計算機」アプリが追加された。同アプリは複雑な手書きの数式や方程式も計算できるほか、手書きの表計算も行えるなど、計算機というよりはExcelの新しい形のようにも感じた。
macOS Sequoiaの一番の目玉は、MacにiPhoneの画面を表示し、操作できるようになったことだ。iPhoneのアプリもMac上でそのまま使える。遠隔操作されているiPhoneはロック画面のままで、セキュリティも安心だという。
加えて、ウィンドウの自動整列機能も追加。画面の隅にウィンドウをドラッグすると、複数のウィンドウを最適な配置で表示できるようになった。
ワークアウト測定に新アルゴリズムを導入し、運動強度を簡単に確認できるようになった。また、健康状態を総合的にチェックする新アプリも加わった。同アプリは、皮膚体温や心拍数などから健康状態をモニタリングし、標準値から外れると通知する。このほか、手首で音声翻訳を利用できる機能も加わった。
騒音下でもクリアに音声通話できる機能が追加。また、着信に対して首の動きで応答 or 拒否できる新ジェスチャー機能が追加された。
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