富士通は6月3日、東洋大学と共同で、カスタマーハラスメント疑似体験機能とナラティブフィードバック機能を備えた、カスタマーハラスメント体験AIツールの開発を公表した。
これは、従業員が応対スキルを身に付け、カスタマーハラスメント応対の負担を軽減することを目指したもので、体験結果から推定した個人の特性に合わせたナラティブを自動で生成し、応対スキルを向上させるものとしている。
この体験AIツールは、カスタマーハラスメント疑似体験機能とナラティブフィードバック機能の2つの機能で構成されている。
カスタマーハラスメント疑似体験機能では、特殊詐欺訓練AIツールのAIトレーナー技術を応用し開発。この機能では、犯罪心理学の知見を活用してカスタマーハラスメントの共通する会話のパターンを学習し、それを再現するAIトレーナーと臨場感のある会話をすることで、さまざまな業種でのカスタマーハラスメントへの応対の疑似体験を可能にしたという。
ナラティブフィードバック機能では、適切な応対スキルを身に付けるよう促すナラティブと、その内容を語りかけるアバター映像をナラティブフィードバックAIによって自動生成する。
フィードバックされる文章や映像などを生成するためのプロンプトを、独自に開発したナラティブフィードバックAIで心理学的知見にもとづき個人ごとに最適化することにより、個人の特性に合わせたナラティブの自動生成を可能にしたという。個人の特性に沿ったナラティブとアバターを自動で生成し、従業員の納得感を高め、適切な応対スキルを身に付けるよう促すことができるとしている。
今後はコールセンター職員などを対象に、体験AIツールの効果を検証していくという。また開発したナラティブフィードバックAIは、営業や人事のコミュニケーションスキル向上に対する働きかけなど、カスタマーハラスメント応対以外にも行動変容を必要とするさまざまな領域に展開できるものとしており、今後はこうした企業の人材育成の領域においても、この技術の有効性を幅広く検証していくとしている。
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