KDDIで代表取締役社長を務める高橋誠氏は5月10日の決算会見で、「auスマートパス」を「Pontaパス」に改称し、特典を強化してローソンの店舗で販売する構想を明らかにした。
詳細は夏頃に発表するという。KDDIはローソンの株式をTOBで取得している。今後は「Pontaポイント」を展開するロイヤリティマーケティングとも資本を含めて関係を強化する。さらに、コンビニの立地を活かし、ローソンの店舗をau基地局やドローン基地にしたり、EVステーションとして活用する構想も披露した。
ソフトバンクショップにおいては、偽造マイナンバーカードによって本人が知らないうちにスマートフォンが機種変更されてしまう事件が発生。この件はマイナンバーカードそのものよりも、目視に頼り、かつ店舗側が本来の手順を踏まずに本人確認したことが原因とされている。
高橋社長はこの件について「(auショップでも)数年前に疑わしい案件があり、店頭での本人確認を強化していた。今回はソフトバンクさんの一部店舗で本人確認が緩かったようなので、我々もそうならないように現場指導を徹底する」と述べた。またeSIMの再発行を悪用した事案については「eSIMを簡単に再発行できてしまうモバイル事業者がいるのも事実」とし、そうした事業者に対して総務省が指導すべきとの認識を示した。
会見では、生成AIに関する取り組みも説明した。経済産業省からの102億円の補助金を活用し、約1000億円を投じてGPUなどを集積したデータセンターを構築する。さらに、5G MECに計算リソースを付した低遅延AIサービスの拡大にも取り組むとした。
2024年3月期の業績は、売上高が前年同期比で1.5%増の5兆7540億円となった一方、営業利益は同10.7%減の9616億円、当期利益は同6.1%減の6379億円の増収減益となった。減収はミャンマーにおける政変で、現地事業のリース債権引当や設備減損、撤去引当を反映したことが要因で、これを除くとDX、金融、エネルギーなどの注力領域は前年同期比で2桁増益を達成した。
さらに高橋社長が強調したのが通信ARPU収入、つまりユーザー単価の反転だ。国の携帯値下げ政策以降、通信ARPU収入は下落が続いていたが、これがようやく上昇に転じたのだ。
決算会見では、一株あたり利益(EPS)を、2019年3月期からの6年間で「1.5倍」にするという目標について、達成時期を2026年3月期に1年延期すると発表した。その間に携帯値下げや燃料費の高騰があり達成が難しくなったためだ。
一方で高橋社長は「EPSを1.5倍にする目標にはこだわりたい」と述べて、達成に向けて全社で取り組むとした。あわせてKDDIは、3000億円規模の自社株買いも発表した。
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