LINEヤフーは5月8日、2024年3月期の通期決算を発表した。PayPayの連結子会社化などが成長をけん引し、4期連続で過去最高の売上高を更新している。
同社の2024年3月期の売上高は、前年比8.5%増の1兆8146億円。営業利益は前年比33.8%減の2081億円だが、企業や事業の統合、移転などによる一時益を除いた場合、前年比15.9%増の1832億円。売上高のほか、調整後EBITDAも4期連続での過去最高の更新となった。
同社は同日、度重なる総務省からの行政指導にも発展した、同社の個人情報流出を受けたセキュリティガバナンス強化の取り組みも発表した。
従業員向けシステム、ネットワークの運用などにとどまらず、サービス・事業領域でもNAVERとの委託関係を終了する。「Yahoo! JAPAN」のウェブ検索開発検証における委託協業の終了も決定し、それ以外も原則終了するという。
LINEヤフー 代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)の出澤剛氏は、「ほぼ全てのサービスの(NAVERへの)委託の終了、内製化および代替手段の目途をつけた。時間がかかる、継続するといった取り組みが出てくる場合は、拡大する想定とともに公開する。一般公開されているAPIや韓国のLINEユーザーへのサポートなどは(関係性が続く可能性が)あるが、今話題になっているサービス開発における委託、社内システムの委託などはゼロにする」と話す。詳細の領域ごとの計画は7月に公表するとした。
セキュリティガバナンスを強化すべく、組織にも手を加える。社長直下に「セキュリティガバナンス委員会」を設置するほか、ソフトバンクとともに「グループCISO Board」を設置するという。
また、2024年度のセキュリティ強化対策費用としては150億円を見込む。「LINE」と「PayPay」のアカウント連携時期は見直し、LINEヤフーのセキュリティ強化策を先行させる意向だ。
経営体制の見直しも発表している。代表取締役CPOの慎ジュンホ氏、取締役CSOの桶谷拓氏が取締役から退任し、それぞれ事業推進に専念する。また、社外取締役として公認会計士で複数企業の取締役を歴任する高(漢字ははしごだか)橋祐子氏を1人追加し、社外役員を過半数にするという。社内取締役が多かった従来の状況から経営と執行の分離を進め、ガバナンスの強化を狙う。6月18日開催予定の第29回定時株主総会で承認後、新体制に移行する予定だ。
出澤氏は2人の取締役退任について、個人情報流出から発生した一連の責任を取るという意味ではないとしながらも、「引責や降格ではないが、1つの要因ではある。(今回の)セキュリティインシデントそのものの対応、またそれに起因した総務省からの要請なども含め、総合的な判断」であるとした。
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