SWITCHBOT、圧倒的エンジニア比率で一家に1台ロボット実現に向かうスマートホームメーカー

 テクノロジーを活用して、ビジネスを加速させているプロジェクトや企業の新規事業にフォーカスを当て、ビジネスに役立つ情報をお届けする音声情報番組「BTW(Business Transformation Wave)RADIO」。スペックホルダー 代表取締役社長である大野泰敬氏をパーソナリティに迎え、CNET Japan編集部の加納恵とともに、最新ビジネステクノロジーで課題解決に取り組む企業、人、サービスを紹介する。

 ここでは、音声番組でお話いただいた一部を記事としてお届けする。今回ゲストとしてご登場いただいたのは、SWITCHBOT プロダクトマネージャー/事業開発リーダーの北島祥氏。100カ国以上でIoTスマートホームデバイスを展開しているSwitchbotだが、豊富な商品ラインアップはどのように生み出されているのかから、スマートホームブランドとして描くビジョンなどについて聞いた。

右から、SWITCHBOT プロダクトマネージャー/事業開発リーダーの北島祥氏とスペックホルダー 代表取締役社長である大野泰敬氏
右から、SWITCHBOT プロダクトマネージャー/事業開発リーダーの北島祥氏とスペックホルダー 代表取締役社長である大野泰敬氏

加納:Switchbotの事業内容を教えて下さい。

北島氏:世界100以上の国や地域に向けて、IoTスマートホームデバイスを企画、製造、販売しています。私が所属する「SWITCHBOT」は、その日本法人として日本の住宅環境や生活習慣にあわせてローカライズされたスマートホームデバイスを提供しています。

大野氏:改めて見ると商品ラインアップがとても豊富ですね。最初に御社の製品を見た時は照明やエコンをオン、オフする機器というイメージが非常に強かったのですが。

北島氏:はい、年間10プロダクト弱の新製品を提供しています。

大野氏:この中でも特に人気が高いのが、家電をコントロールする「SwitchBot ハブ」ですか。

北島氏:おっしゃる通りですね。スマートホームの入門製品として一番人気を獲得しています。近年では、安全性やセキュリティに対する意識も高まっていますので、スマートフロックや見守りカメラなどの製品の売上も伸びています。

大野氏:スマートロックもいろいろなタイプがありますよね。指紋認証や数字を入力するタイプのほか、カードやアプリを使うなど。

北島氏:Switchbotの一番の特徴は拡張性だと思っていますので、スマートロックで言えば、Bluetooth経由でスマートフォンのアプリか施錠や解除ができるほか、専用のアタッチメントを組み合わせて指紋認証やキーパッドなども使っていただけます。

大野氏:3年くらい前まではこれほどラインアップはなかったイメージなのですが、急激に増えましたよね。

北島氏:そうですね。会社の体制もここ数年で強化してきました。日本法人も含めて社員は600~700名いるのですが、その内の約半分がエンジニアのスタッフになります。ですからプロダクトやソフトウェアの開発に多くの人数が割けますので、開発スピードや新製品の提供速度は上がっていると思いますね。いまは40弱のStock Keeping Unit(SKU)を提供していますが、例えば2023年の10月頃に発売したロボット掃除機は、2023年の上旬に開発が始まり、年内にリリースしました。

大野氏:想像を絶する速さです(笑)。家電からスマートロックまでさまざまな商品を発売されていますが、SWITCHBOTとしてどの領域に注力していこうというのは定めているのですか。

北島氏:「イノベーションとテクノロジーを使って、できるだけ多くの方の生活を便利に豊かにしたい」というのが私たちのミッションなのですが、最終的なビジョンとしては一家に一台ロボットがいて、人の代わりに家事をすることなんです。ただ、ロボットを自宅に導入するのは、ものすごくコストがかかりますよね。いまのテクノロジーではまだそこまではできない。ですから、ロボットの1つ1つのパーツ、指や目、手といった部分をそれぞれ商品化し、必要なものを組み合わせて使っていただくことで、ホテルのコンシェルジュが自宅にいるような生活が再現できればと考えています。

 Switchbotが最初に発売したプロダクトは「SwitchBot ボット」という人の指の代わりにスイッチを押すロボットなのですが、そこから最終的なビジョンに向かって、少しずつ製品を充実させている状況です。

大野氏:最近使ってみて、さらに驚いたのが設定のしやすさです。以前はつながらない苦労みたいなものがあったのですが、簡単に認識して接続できる。このあたりはアプリの進化なのでしょうか。

北島氏:まさに2023年は、誰もが使えて直感的に操作ができるアプリを作るのが1つの課題でした。これまでのアプリは専門的な知識や、スマートデバイスに対する前情報がある人であれば使えるというものでしたよね。そこで私たちは、社内のメンバーはもちろん、「スイッチボッタ―」と呼んでいるファンの方に先行でアプリをご提供して、フィードバックをいただき、進化したものを一般のお客様に提供するようにしました。

大野氏:エバンジェリストのような方たちとダイレクトにつながっていらっしゃるということですか。

北島氏:インフルエンサーの方もいらっしゃいますし、ずっと使っていただいているユーザーの方もいらっしゃいます。みなさんとても協力的で、リアルタイムでやりとりをして、その場で検証のお手伝いをしてくださる方もいらっしゃいます。

加納:あまり聞いたことのない仕組みなのですが、市場調査をつねにやられているイメージですか。

北島氏:そうですね。Switchbotが扱う製品は、国によって住宅環境も違えば、生活習慣も異なります。結局、その国にあった製品でないと手にとっていただけないのです。そこで重要になってくるのがユーザーの声です。いかにこの声を集め、潜在的なニーズを掘り起こせるかに重点を置いています。常にユーザーとできるだけ接点を多くして、コミュニケーションを取り、声を収集するという状況を作り上げています。

大野氏:声を集める方法としてアプリ経由やメール送付などがあると思いますが。

北島氏:アプリはアカウント登録して使っていただいているので、メールをお送りしたり、あとはSNSのX(旧Twitter)経由でコミュニケーションを取らせていただいたりしています。

大野氏:ちなみにアプリと商品開発はどのように連携されているのでしょうか。

北島氏:プロダクトの開発チームは全部で6チーム程度あり、それぞれの人数やプロダクトマネージャーの数が異なります。各チームは目や指などパーツの名前がつけられていて、それらのチームとは別にソフトウエアのチームがいます。ソフトウェアチームでは、全体のスケジュールを管理して、そこから各プロダクトチームにスタッフが割り振られていく形になります。ソフトウェアチームが独立しているように見えますが、それぞれプロダクトチームに入り、一緒に開発を進めています。

大野氏:そういうチーム構成なので、プロダクトとソフトウェアの舞台が一緒になって、ユーザーにとって一番いいと思うものを作り上げられるのですね。

 下記の内容を中心に、音声情報番組「BTW(Business Transformation Wave)RADIO」で、以下のお話の続きを配信しています。ぜひ音声にてお聞きください。

  • ブラインドではなくカーテン、日本の住まいに合わせてプロダクトを変える
  • Amazonでの販売で認知度をアップ、さらなる市場進出に家電量販店が欠かせない理由
  • 住宅メーカーや家電量販店と共に取り組む設置のハードルを下げる仕掛け






大野泰敬氏


スペックホルダー 代表取締役社長
朝日インタラクティブ 戦略アドバイザー


事業家兼投資家。ソフトバンクで新規事業などを担当した後、CCCで新規事業に従事。2008年にソフトバンクに復帰し、当時日本初上陸のiPhoneのマーケティングを担当。独立後は、企業の事業戦略、戦術策定、M&A、資金調達などを手がけ、大手企業14社をサポート。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会ITアドバイザー、農林水産省農林水産研究所客員研究員のほか、省庁、自治体などの外部コンサルタントとしても活躍する。著書は「ひとり会社で6億稼ぐ仕事術」「予算獲得率100%の企画のプロが教える必ず通る資料作成」など。



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