牛の姿勢をAIで判定、起立困難を予防--NTTテクノクロスら、声かけサービス「BUJIDAS」

 NTTテクノクロスとベルシステム24、アイ・オー・データ機器の3社は4月11日、同月から牛の起立困難予防声かけAIサービス「BUJIDAS」(ブジダス)の提供を開始すると発表した。

 国内畜産業の課題解決に向けた肥育農家向けの共同サービスとして、5年後に5万頭への導入と、売上規模で年間10億円を目指す。

キャプション

 BUJIDASは、ネットワークカメラとAIで牛の姿勢を判定、起立困難の発生を予防する日本初の非接触型サービス。具体的には、牛舎の環境・牛の頭数に応じた台数のネットワークカメラを設置し、牛舎の様子を常時撮影。また、導入時に起立困難になり得る危険な姿勢の映像をアノテーションにより設定、AIを個々の状況に合わせてチューニングすることで、危険な姿勢となっている牛の判定確度を向上させるという。

 運用開始後は、危険な姿勢であるとAIが判断した場合に、ネットワークカメラから特殊音を発報。これにより、音に反応した牛が首を起こし、姿勢を戻すことで起立困難の発生を防ぐという。

 
 

 音に牛が反応せず、起立困難につながる姿勢が一定時間継続された場合は、AIから自動で利用者にメールを送信して注意を促す。今後は、起立困難につながる姿勢が改善しない場合に牛の状態をモニタリングして利用者へ電話での緊急連絡を行うオプションサービスも検討するとしている。

 牛肉を生産する肉用牛経営のうち、繁殖農家が育てた子牛を肥育牛として大きく育てる肥育農家は、約20カ月に及ぶ飼育期間がある。病気や事故などにより牛1頭を失った場合、子牛の購入費である素牛費や飼料代などで約120万円を超える大きな経済的損失が発生するため、牛の状態を丁寧に見守り、疾病や事故など危険な兆候を事前に察知することが必要となっている。

 また、体内で異常発生したガスが横隔膜を圧迫して呼吸困難・起立不能に陥る起立困難は、特に出荷前5カ月間に多く発生し、死亡事故につながる。一方で、牛舎の見回りは肉体的・精神的な負担が大きく、人手不足を背景に新規での人員確保も難しい。農家の生産性を下げる要因としている。

 BUJIDASは、NTTテクノクロスとベルシステム24が技術・知見を掛け合わせて開発。起立困難による損失コストの削減をはじめ、牛舎見回りにかかる負荷軽減、見回り人員のコストを削減できる。

 NTTテクノクロスが開発した牛の起立困難予防声かけAIを活用。同社はAIの提供および保守を担う。ネットワークカメラは、アイ・オー・データ機器の防じん・防水対応の「TS-NA230WP」を採用する。

 ベルシステム24は、サービスの導入支援と運用を担当。新規契約者の登録作業や補助金申請などの事務サポートに加え、導入時にはAI判定の精度担保のためのアノテーション作業も担うという。運用開始後は、24時間365日監視センターによる定期的なAIシステムや、ネットワークカメラの稼働確認、利用者からの問い合わせ対応なども担当する。

 
 

 なお決済は、畜産生産者の経営サポートに取り組むアメリカン・エキスプレス・インターナショナルの個人事業主・中小企業者向け「ビジネス・カード」に対応。キャッシュレス決済による支払い工数の軽減、支払いに伴うポイント還元により、同サービスの普及の促進を目指していく。

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