iPhoneアプリを純正ストア以外からも入手可能にする法律「今通常国会中の成立めざす」と自民党調査会

 自由民主党 競争政策調査会で事務局長を務める衆議院議員の小林史明氏は2月29日、iPhoneアプリを純正ストア以外からもダウンロード可能にするなどの内容を盛り込んだ法律案について、党内での議論と手続きを経たうえで、今通常国会中の提出を目指すと明らかにした。可決されれば1〜2年後に施行される見通しだ。

自由民主党 競争政策調査会で事務局長を務める衆議院議員の小林史明氏
自由民主党 競争政策調査会で事務局長を務める衆議院議員の小林史明氏

 この法律案は、スマートフォンにおける特定企業の寡占を防ぐためもので、公正取引委員会が概要を取りまとめた。

 具体的には、ソフトウェア、モバイルOS、アプリストア、ブラウザー、検索エンジンの計5つを「特定ソフトウェア」と定義し、その種類ごとに政令で定めた規模以上の事業者を「特定事業者」に指定。主にAppleやGoogleを念頭に置いており、違反した場合には課徴金の納付命令も出せるようにする。

 例えばアプリストアでは、iPhoneアプリについて、Apple以外のアプリストアからダウンロード可能にするよう求める。なお、セキュリティを維持するために、他のアプリストアに対して必要な措置を講じられる余地も設ける。

 また、Apple以外の課金手段の利用を妨げる行為や、アプリ内で別の課金手段に誘導することを妨げる行為も禁止する。さらに、「Appleしか触れないiOSの機能」といったものも、セキュリティを担保したうえでサードパーティーへの開放を義務付けるほか、デフォルトのブラウザーや検索エンジンを容易に変更可能とすることも求める。






欧州の「デジタル市場法」に追従

 この法律案は、欧州連合(EU)で3月7日に施行される「デジタル市場法」に追従する内容だが、一部異なる点もある。EUのデジタル市場法はすべてのウェブサービスを対象とするが、同法律案はモバイルのみを対象としている。

 記者向けブリーフィングで小林氏は「各国当局とも連携して足並みをそろえていく。日本があまりにも遅れると、EUだけアプリの手数料が安くなり、EUのユーザーだけがその恩恵を受けて、日本国民は受けられないということも起こり得る」と述べ、迅速な法整備の必要性を説明した。また「かなり多くのアプリ事業者から(アプリストア寡占についての)声が上がっている」とも述べた。

 独占禁止法との棲み分けについては「独占禁止法でも個別事案には対応できるが、実際に対応するには立証が必要。ものすごい調査をして措置をしても、その頃にはビジネスが十分展開されてしまい、手遅れになりかねない」と指摘した。

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