大日本印刷(DNP)は1月26日、三重県桑名市と「誰一人取り残さない、デジタル社会の実現」に向けた連携協定を締結したと発表した。
同協定に基づき2月26日から、「電子申請手続きの総合窓口」「各種相談業務」「市民交流の場」をインターネット上の仮想空間・メタバースで提供する「メタバース役所」の実証事業を開始する。
1月26日には、三重県桑名市のメタバース役所にて、協定締結式が実施された。
「メタバース役所」の実証事業は、2月26日から3月29日に実施する。桑名市の総合窓口を模倣した空間をメタバース空間に構築、運営し、「電子申請手続きの総合窓口」「各種相談業務」「市民交流の場」の3つを提供する。
市民は直接市役所などに行くことなく、自宅や遠隔地から電子申請手続きの問い合わせや各種相談、市民交流会への参加などが可能となる。行政が発信する情報やオンライン申請手続きの活用を促進するとともに、移動手段や時間の制約を取り除き、相談や交流会への参加を促進する。
また、テキストチャットで不適切な発言をブロックする機能や、不審者・妨害者を強制的に排除する機能、通信を暗号化して会話内容が第三者に漏れないよう空間内で制御する機能など、安心・安全面に注力して構築したとしている。
連携協定では、(1)リアルとバーチャルを掛け合わせた地域への新しい取り組み、(2)メタバース・AR・MRなどのXR技術を含む各種テクノロジーを活用した自治体DXの推進と市民サービスの向上――に取り組むことが締結された。
DNPが2021年から展開する「XRコミュニケーション事業」などで実践する、「バーチャル空間の構築・運営のノウハウ」「さまざまな企業・自治体の業務プロセスを改善するBPO(Business Process Outsourcing)・BPR(Business Process Re-engineering)の知見」「安全・安心を担保する認証やセキュリティ技術」を活用し、桑名市が目指す「誰一人取り残さない、デジタル社会の実現」に貢献する、といった内容だ。
なお、電子申請手続き業務では、開始時点はサポートにとどまるものの、将来的な行政システムと連携、メタバース内で申請を完結する仕組みの導入を検討しているという。メタバース役所とリアルの行政業務が連動したサービスや、生成AIを活用した24時間365日の市民サービス対応などが可能なメタバース役所を目指すとしている。
三重県桑名市 市長の伊藤徳宇氏は、「メタバース上での連携協定の締結式の実施は史上初とのことで、ワクワクしている。テクノロジーの進展で社会が大きく変わるなか、まだまだ市役所は変わりきっていない。よりテクノロジーを活用し、スマートな自治体に変えていきたい」と話した。
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