リクルートは1月23日、兼業・副業に関する動向について調査した「兼業・副業に関する動向調査2022」について、結果の分析を行い、副業に関する追加分析を発表した。同発表では、副業を実施する個人に着目。副業実施者の特徴や副業の満足度別分析によって、副業実施につながるポイントを明らかにしているという。
なお、同調査の調査期間は、1月21日〜1月22日。有効回答数は、企業人事担当者1648名、個人2072名。
それによると、全体の副業実施率は9.9%となっており、過去3カ年ほぼ横ばいで推移している。また、副業を実施したことがない層の詳細をみると、過去に副業の経験はないが実施意向があると回答した人は、全体の41.1%を占めている。それに対して、実際に副業を認める制度が自社にあると回答した人事担当者の割合は、51.8%。過去3カ年でみると、年々増加の傾向にある。
副業実施の理由をみると、「生計を維持する最低限の費用以外に、貯蓄や自由に使えるお金を確保するため」が最も多く47.6%。次いで、「生計を維持する(生活費や学費を稼ぐ)ため」の43.6%となった。金銭面での目的以外では、「主たる職業の仕事では得られないような知識や経験を獲得するため」が25.6%、「兼業・副業での経験を主たる職業の仕事に活用するため」が25.3%となっている。
次に、キャリアについてどのように考えているか、副業実施者と非実施者で比較した。副業実施者のキャリア観をみると、副業非実施者と比べ自身のキャリアに対する関心が高い。
実際に、副業実施中の人および、副業の経験があり、再開予定がある人の副業実施のきっかけは「すでに兼業・副業をしている人が身近にいた」(27.9%)に続き、「自分のキャリアを見つめ直した」(21.5%)という結果となっている。
同社では、「就業者のキャリア自律・キャリアオーナーシップに関する調査2023」(2023年3月)も発表している。その中から「職場の特徴としてあてはまる割合」(項目ごとに単一回答、n=1531)抜き出し、「あてはまる計」と「あたはまらない計」を調べた。すると、「業務の割り当ては、自身の能力開発が加味されたものである」や「生活や将来のことを腹を割って話せる職場である」という選択肢に、大きな差がみられた。
同社によると、職場での対話を通し、自らのキャリアを明確にしていくというプロセスがキャリア自律を育み、その意向を考慮した業務の割り当てといった工夫が企業には求められているという。また、そういった取り組みが、個人のキャリアへの関心を高めることにつながるとしている。
さらに、兼業・副業実施経験がある人に対して、兼業・副業の満足度を4項目(キャリア形成面・収入面・やりがい面・成長面)で聴取した。
これら4項目から、「副業満足度」の指標を作成。その指標が高い群を満足群(n=506)、低い群を不満群(n=121)とした。その結果、満足群の割合は40.7%、不満群の割合は9.7%(どちらでもない群は49.6%)で、総じて副業実施経験がある人の満足度が高い結果となっている。
なお、満足群の副業実施による効果をみると、最も多いのは「時間を意識しながらより効率よく仕事を進められるようになった」で37.4%。次いで、「本業からの収入に追加して副収入が得られた」の36.8%、「新しい知識やスキルを獲得できた」の34.6%となっている。
さらに、「従業員が兼業・副業を行って得た経験が自社の主たる業務に還元できているか」という問いでは、還元できていると感じている人事担当者が半数を超えている(「本業に還元できていると思う(42.9%)」「どちらかというと本業に還元できていると思う(27.2%)」の合計)。
次に、満足度別(満足群・不満群)に、悩みを聞いてくれる人や、適切なアドバイス・サポートを提供する支援者がいるかどうかを確認すると、不満群で支援者がいる人の割合は37.2%だったのに対し、満足群では73.5%となった。
副業実施者経験がある人の中には、満足度が低いと感じている人もいる。同社によると、その主な原因として挙げられるのが、時間管理の難しさだという。副業と本業を両立させるためには、効率的な時間管理が求められるが、それが難しいと感じる人が多い。
同社では、これらの課題を解決するためには、企業が積極的に環境整備をしていくことが大切だと指摘する。受け入れ企業も送り出し企業も、副業実施者が働きやすい環境を提供することが求められているとしている。
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