「ラブライブ!」蓮ノ空1stライブ東京公演で見た“花咲く未来を感じるステージ” - (page 2)

 幕間映像として、これまでリンクラで登場したカードイラストを用いたムービーが上映。これまで数々のイラストが彩ってきたなかで、ゲーム部分となる「スクールアイドルステージ」で活躍する場面が多いとされるカードイラストが映し出されたときには、歓声があがる一幕も。

 ステージには6人がそろい、1stアルバムの表題曲でもある「夏めきペイン」を披露。清涼感のある白と水色を基調とした上着にデニム風のパンツスタイル衣装、そして夏と青春を感じさせる楽曲で、聴く人たちを常夏気分にさせていく。

「夏めきペイン」
「夏めきペイン」

 ここからは再度ユニット楽曲の披露となり、スリーズブーケはユニット3rdシングル表題曲「素顔のピクセル」で鮮やかに彩れば、みらくらぱーく!はユニットの1stシングル表題曲である「アイデンティティ」では、2人がハグするシーンもありつつセンターステージから元気なパフォーマンスで魅せていく。そのままみらくらぱーく!の「ココン東西」となり、2人がトロッコに乗って、さまざまな場所から鼓舞するように歌声を届けていく。そしてDOLLCHESTRAがユニット3rdシングルの「Take It Over」では、2人の力強い歌声が響くなかで、ステージの照明が綴理のイメージカラーである“ボクの赤”の赤色と、さやかの氷青色で彩られつつ、時折緑色が差し込まれる光景も目を引いていた。

 6人がステージに姿を見せ、「明日の空の僕たちへ」を披露。途中には花宮さん、佐々木さん、月音さんの2年生キャスト3人が集って歌声を重ねるシーンもありつつ、青空の映像をバックにエモーショナルな気持ちにさせる楽曲で本編が一区切りとなった。

 アンコールでは、スクリーンにメンバー6人が登場して挨拶。Day.1では東京のホールでライブができたことの喜びを語りつつ、ライブ前日(11月17日)が綴理の誕生日ということで、会場が一体となってバースデーソングを歌ってお祝いし、綴理も喜びを語る。Day.2ではメンバーが秋葉原に行ったエピソードを語りつつ、ライブの成功を祈ってスクールアイドルの聖地と呼ばれる神田明神にお参りしてきたことに触れると、場内がざわつく一幕も。

 こうして迎えたアンコールはキャスト6人そろっての「On your mark」から。疾走感溢れる曲調のなかで、“位置について”を示すタイトルに自分を信じることを歌う楽曲で、新たなスタートを切るかのごとく熱唱。そしてさらなるユニットソングの披露に。作中における10月の竜胆祭での「ラブライブ!地区予選エントリーライブ」でメンバーたちが披露した、予選の勝負曲と言える楽曲のステージとなった。

「On your mark」
「On your mark」

 ステージの6人がヒーローポーズを決めつつ、まずはみらくらぱーく!の「ノンフィクションヒーローショー」。いわゆるヒーローものをイメージさせる楽曲で、会場のテンションを高めていく。それにDOLLCHESTRAの「KNOT」が続く。“結び目”を意味するタイトルに、スクリーンには鎖の映像も映し出されるなか、息の合ったダンスや振り付け、そして歌声で独特な世界観を表現し、熱いステージに。そしてスリーズブーケは「千変万華」で、会場中に花を咲かせるがごとく清涼感のあるパフォーマンスを展開した。

 これらに加え、メンバーたちが竜胆祭で歌った「Trick & Cute」も披露。ハロウィン曲となっており、猫の手招き風な振り付けも交えつつ、魅惑の世界を作り出していた。

「Trick & Cute」
「Trick & Cute」

 MCパートでは両日ともにアンコールでのユニット曲を振り返るトークで盛り上がったあと、6人がユニットに分かれてトロッコに乗り込み、繋がりをうたう「Legato」と「永遠のEuphoria」を続けて披露。笑顔に満ちた情報で手を振りながら歌唱をしていた。

「永遠のEuphoria」
「永遠のEuphoria」

 最後の挨拶としてそれぞれが振り返るなか、楽曲やライブに対する思いが語られていった。Day.1では佐々木さんからも綴理の誕生日について触れられ、そのお祝いに自身としても嬉しかったとお礼を述べつつ「綴理の隣に立てるように頑張る」と意気込みを語った。また野中さんは、蓮ノ空の軌跡にはみなさんがいると、一緒に作り上げていることを伝えていた。そして楡井さんは、福岡公演よりもアンコールで披露する楽曲が増えたことについて、メンバーの活動と現実の時間が連動していることを実感すること語っていた。

 Day.2では、月音さんのトーク中に、この日が菅さんの誕生日であることに触れられ、みんなでお祝いの言葉を送り、菅さんからも感謝の言葉を口にする。そして楡井さんからは、冒頭のMCで飛田給に来たエピソードに触れ、そのときにこの会場を見てとても大きく感じたこと、「ラブライブ!」シリーズの先輩もライブした場所であることから、蓮ノ空としても大きくなりたいと憧れを持っていたと振り返る。感激からか目を潤ませる場面もありつつ、感謝とさらなる飛躍を誓う言葉を語っていた。最後は客席と配信視聴者に向けて挨拶をしつつ、ユニットごとにポーズを決めて降壇。ライブを締めくくった。

 すでにライブステージを経験していたり、1stライブでもツアーの2会場目ということもあると思うが、楽曲のパフォーマンスは初々しさを感じさせないぐらいに完成度が高く、圧巻と言えるもの。特にユニットのカラーが色濃く伝わるような、表現力の高さが印象的だった。さらに幕間の映像やユニットの入れ替えはありつつも、序盤からアンコール終盤までMCがなく、ひたすら歌、歌、歌のステージで、少なくない衣装替えもありつつ30曲にもおよぶフルライブを6人でこなしたということも、それを本格展開して1年に満たないグループが行ったのも、振り返って考えると驚くべきこと。もっともライブ中は純粋に見入ってしまう魅力が1曲1曲にあり、曲数の割にあっという間と感じられるものだった。

 ライブそのものでも魅了するパフォーマンス力を感じさせるが、リンクラを通じたメンバーたちに活動やストーリーを知っていると、より深く入っていけるところがある。筆者が感じたなかの一部ではあるが、一聴するとハイテンションソングの「ド!ド!ド!」が、瑠璃乃と慈のみらくらぱーく!結成エピソードを知ると涙腺刺激ソングに一転したり、「明日の空の僕たちへ」で2年生キャスト3人が歌うシーンも、メンバーの1年生時のこと、“蓮ノ大三角”のことを知るとよりエモーショナルな気持ちになれたり、「DEEPNESS」は4人のステージというよりも、梢と綴理が同じステージ立つという大きな意味を持つものであったり、「Dream Believers」は“大舞台で”“6人が歌う”ということに感慨深くなる……といったことが挙げられる。

 なにより、“今”をともに歩んでいくなかで、オンラインを通じて時間のリンクだけではなく、メンバーとキャスト、そして蓮ノ空のこと好き好きクラブのみなさんが同じ場にいて一体となって楽しめる“空間”のリンクも実現し、同じ場にいることを味わえるライブと思えた次第だ。

「永遠のEuphoria」
「永遠のEuphoria」

 また余談ではあるが、筆者お気に入りのメンバーが日野下花帆で、ユニットがスリーズブーケということから見ても、印象的と思えるところはいろいろとあった。ちなみに花帆は、“花咲く”ことを目標に、大きな期待を抱き学院に入学。梢との出会いによってスクールアイドルへの道へ踏み出す。楽しそうなことにいつも全力で、笑顔を絶やさない元気な女の子となっている。そしてユニットを組む梢はスクールアイドルクラブの部長で、文武両道、眉目秀麗の優等生。またスリーズブーケは、蓮ノ空で受け継がれてきたユニットということも、リンクラのなかでは触れられている。

 筆者が思うスリーズブーケの魅力は、想像や個人的な解釈も含めるのだが、ストイックに努力を惜しまずステージでは華麗なパフォーマンスで魅了しつつ、どこか不器用なところもある梢と、天真爛漫でまぶしいぐらいに元気いっぱいなパフォーマンスを見せつつ、梢を支え手を引いていきたいと思っている花帆の姿、と感じている。とかく楡井さんと花宮さんによるステージはどの楽曲を見ていても、花帆と梢の映像がなくてもこうした光景が思い浮かぶもので、花帆と梢そのものと伝わるものになっていた。

 ほかにも、「Dream Believers」の衣装で花帆と梢は帽子をかぶっていてお似合いと感じているなかで、それを再現した衣装と帽子をかぶって登場した楡井さんと花宮さんにも同じ印象を持ったことをはじめ、「Holiday∞Holiday」において、手を繋いで花道を歩くときに楡井さんが花宮さんの手を引いていこうとするところはまさに花帆と梢の関係性に見えるうえ、腕を組むぐらいに近づくところは“尊い”と感じさせるものであったり、「素顔のピクセル」では曲中にピースサインを決めるところがあり、“かわいい”のインパクトが大きいなかでも、ピースの出し方に花帆と梢の性格がよく現れているものであるとか、スリーズブーケのパートでは、花帆のイメージカラーであるおひさま色と、梢のイメージカラーであるマーメイドグリーンのコンサートライトが客席で振られるなか、「謳歌爛漫」では、桜をイメージするようなピンクのコンサートライトも振られていて目にも鮮やかな光景が広がっていたこととか、「Kawaii no susume」の冒頭で楡井さんがキュートなポーズに続き、花帆が少し困っているのが透けて見える感覚で“ぷくー”という文字が見えるような頬を膨らませてポーズを決めているところも“かわいい”のインパクトが大きいとか、Day.2のアンコール時にスクリーンのメンバーがトークをするなかで“梢が口にした「蓮ノ空のこと好き好きクラブのみなさん」”が、どこかくせになる魅力を持つ言葉と感じさせるものだったこととか、個人的に好きなスリーズブーケ曲は、オープニングライブイベントで披露されたこともある「Mix shake!!」なので、またいつかライブで聴くことができる機会があれば……などもあるのだが、特に印象的だったことしては、Day.1で「水彩世界」と「千変万華」が歌われたことと、Day.2における「Reflection in the mirror」のステージだ。

 「水彩世界」は花帆と梢の始まりの曲と言えるものであり、「千変万華」は前述のように地区予選エントリーライブで披露された楽曲。とかく楡井さんが花帆としてうたう序盤のところが、「水彩世界」では入学後に悩んでいた花帆と、「千変万華」ではその後未来が開けた花帆の姿がイメージされてエモーショナルな気持ちにさせてくれるもの。そして花帆と梢の始まりとそこからの今を描いたような曲が、Day.1におけるユニット楽曲の最初と最後に歌われたことにグッときたところがあり、DOLLCHESTRAとみらくらぱーく!がそれぞれに強く存在感を示すなかでも、王道できらきらした清涼感や暖かみのある曲調と、まっすぐ心に届くような歌声でスリーズブーケの色に彩り、笑顔にさせつつほんのりと目も潤んでしまうような2曲と感じられるものとなっていた。

 「Reflection in the mirror」は、鏡越しで反転するような、シンメトリーな振り付けが目を引く楽曲。前述のようにDay.2は本来のパフォーマンススタイルではなかったが、できる精一杯のステージを見せる花宮さんと、全力で支えて引っ張っていくような楡井さんのように見えた……というのは、思い込みが過ぎるところもあるが、手を取り合って進んでいくことを示す楽曲なだけに、Day.2の状況だからこそ2人が補い合って成長していくスリーズブーケの姿に見えて、グッくるものがあった。ちなみに、ステージで映像は流れなかったが、103期7月度Fes×LIVEで花帆と梢が歌った際の、鏡を表現するような光の壁の演出が秀逸だったことは付記しておきたい。

 Day.2における終盤の挨拶で、楡井さんはこれからも蓮ノ空やリンクラを通じて、日々をともに歩んでほしいと伝えるとともに、「何が起こるかわからない未来ですが、いつでも全力で、今この瞬間を一緒に楽しんでいきましょう!」と語っていた。先のことはわからないながらも、ライブで感じた思いあふれるパフォーマンスに高い熱量、そしてこれからも蓮ノ空の軌跡が紡がれていくことを考えるなら、花帆やスリーズブーケ、そして蓮ノ空“12人”に花咲く未来があると感じられるステージと思えた次第だ。

 なお、前述の通り1stライブツアーは全公演開催済みとなっているが、11月25日と26日に行われた愛知公演の有料アーカイブ配信が期間限定で実施中。配信期間はDay.1とDay.2ともに12月3日23時59分まで(配信チケットの販売は12月3日21時まで)。料金は1公演視聴券が5000円(税込)、グッズ付き1公演視聴券が7500円(税込)。詳細は「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」公式サイト内「ライブ・イベント」の1stライブツアー特設サイトに記載されている。

「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」公式サイト
「ラブライブ!」シリーズ公式サイト

(C)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ

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