50億――これは、50年間で製造したミートボールのパック数(推測値)という。「イシイのおべんとクン」のキャッチフレーズで知られる石井食品は11月9日、2024年にミートボールの発売から50周年を迎えるにあたり、これまでの取り組みと今後の事業戦略について発表した。
石井食品 代表取締役社長 執行役員の石井智康氏は、「多くの皆様に愛していただいたから50年もの間やってこられたと思っており、感謝している。しかし、50年間の進化がまったく伝わっていないのがジレンマでもある」と明かした。
「50億という数字を見ると、多くの人の体の土台を作ってきたとも言えると思っており、安心・安全であるということをどう突き詰めていくかということは非常に重要なことだと思っている」(石井氏)
石井食品は、あまり知られていないすごいこと、として(1)添加物をストイックに使わない、(2)卵も乳もゼロ、(3)素材から流通まで、商品情報を全公開――の3つを説明した。
「添加物は、悪いものだとは思っていない。それぞれいろいろな機能を持っており、大変便利でかなり効率がよくなる。添加物でなくても機能的な食材はたくさんあり、効率的に作れることもある。一方で、一部の方にとっては添加物に不安を感じてしまう方がいるのも事実。家庭でなじみのない原材料はどんどん抜いて、シンプルにおいしいものを作ることを突き詰めていったのがわれわれの歴史」(石井氏)
つなぎに卵を使わず、特別仕様の乳製品を使わないパン粉をメーカーに製造してもらっているという。
「乳・卵は別に悪いものではないし、特に子どもの成長によっては必要なものだとも思う。一方でアレルギーを持っている子どもが多い材料でもある。乳・卵を使わないことによってより多くの子どもたちにも食べていただける」と説明した。
パッケージの裏にはQRコードが記されている。スマートフォンなどで読み取り、商品名を選択してパッケージの表にある「品質保証番号」と「賞味期限」を入力すると、醤油や塩、カレー粉といった調味料から、パン粉、鶏肉、野菜ひとつひとつまで、加工地や加工日、検査内容などが見られる。
「取引先にも出荷時にデータ入力を依頼し、バーコードを貼ってもらうなどの対応を依頼しており、協力によってなんとか作り上げている。すべて情報を公開することで、お客様の安心を高めてもらう。こうした手間暇が、この50年につながっている」とした。
今後の取り組みは、(1)パッケージの減プラ、(2)オーガニック素材の利用、(3)もっと「使える」ミートボールの拡大――の3点だ。
TBMと組み、石灰石を主原料とする「LIMEX Pellet」を含むパッケージを活用し、世界初の食品包材用シーラントフィルムを開発した。まずは、2024年2月に発売予定の「神奈川三浦のキャベツを使ったハンバーグトマトソース」で採用する。今後は、年間1億個の販売を誇る「イシイのおべんとクン ミートボール」でも本格展開していく方針だ。
また、ミートボールの素材も突き詰め、2023年からはオーガニック素材のトマトソースを活用をスタート。今後は抗生物質不使用のオーガニックな鶏肉、オーガニックな玉ねぎといった素材も模索している最中という。
また、2024年2月より、常温で480日間の長期保存が可能な「いつでもミートボール」と「いつでも1.5倍チキンハンバーグ」を展開する。これは、2018~2019年にかけて自衛隊からの要望を受けて展開した製品をより長期保存できるように調整し、パッケージを一般向けに変えたもの。
お弁当以外にもパスタや常備菜としての活用が増えたことや、商品購買の変化をうけて開発したという。
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