ネット上で販売されている製品のレビューを見たことがある人なら、特定のレビューの信頼性に疑問を持ったことが間違いなくあるだろう。そこで「Firefox」は、レビューチェック機能を搭載することで、ユーザーがオンラインショッピングの際に、レビューの信憑性についてもう少し確信を持てるようにしたいと考えている。
Firefoxの開発元であるMozillaは、不正オンラインレビューの検出を専門とするFakespotを5月に買収した。Fakespotは現在、「Amazon」、Walmart、「eBay」「Yelp」および「TripAdvisor」に対応したブラウザー拡張機能を提供しており、A~Fのグレードという形で、各製品に評価を付与している。
グレードAはすべてのレビューが信頼できることを、グレードBはほとんどのレビューが信頼できることを意味する。また、グレードCは信頼できるレビューとできないレビューが混在していることを、グレードDとFはレビューが全体として信頼できないことを示している。
ただし、グレードが低くても製品やサービスの品質が低いわけではないことは、指摘しておくべきだろう。グレードの低さは、レビューが信用できないことを示しているにすぎない。Fakespotでは、どのレビューをフェイクと判断したかは明示されず、全体的なスコアが製品に付与されるだけだ。グレードが低いほど、レビューが信憑性に欠ける可能性は高くなる。
そしてこのたび、Fakespotの機能がFirefoxに組み込まれることになった。この新機能「Review Checker」は現在テスト中で、11月までには広く提供されると、Mozillaは述べている。当初は、Amazon、「Best Buy」およびWalmartにのみ対応するが、対応サイトは順次追加されていく予定だ。
Fakespotはどのような仕組みで機能するのだろうか。同社によれば、すべては人工知能(AI)のおかげだという。Fakespotは多数のデータポイントを使用して何度もテストを実行することで、レビューの信憑性を判断している。ユーザーによるレビューの不正操作を防ぐため、同社はアルゴリズムに関する具体的な情報を公開していないが、レビューが本物の顧客によって書かれたものかどうかが、すべての判断基準になっているようだ。
これはオンライン買い物客にとって極めて重要なポイントだ。というのも、Googleがおすすめ製品の表示にあたってレビューを分析し、より優れていると判断した製品を特定のキーワード検索の上位に表示しているからだ。企業はより多くの注目を集めようと競い合っているため、このGoogleの手法がレビューの不正操作の誘因となるケースが少なくない。
最近の調査によれば、買い物客の82%が2022年の1年間に偽のオンラインレビューを見かけたことがあると回答している。18~34歳の年齢層に限って言えば、その割合は92%に跳ね上がる。
現時点では、Fakespotのブラウザー拡張機能をダウンロードすることで、同等の機能を利用できる。だが今後は、「Android」およびデスクトップ版Firefoxのバージョン120に、Review Checkerが自動で組み込まれる予定だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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