Metaは米国時間9月27日の「Meta Connect」で、複数の新しい人工知能(AI)サービスを発表した。同社のさまざまなプラットフォーム(「Instagram」「WhatsApp」「Messenger」)でまもなく利用可能になるという。
既存プラットフォームへのAI機能の追加に加えてMetaは、「Meta AI」という同社独自のAI会話アシスタントを発表し、ついにAIチャットボット競争に参戦した。OpenAIの最近の人気の高さを考えると信じがたいが、Metaは生成AIをめぐる熱狂が始まるはるか以前から、長い間、AI分野のリーダーとして高度なモデルを開発していた。Metaは、AI分野で築いてきたその地位にもかかわらず、他の大手IT企業と同じ動きを取らず、2022年11月に公開されて爆発的な人気を集めた「ChatGPT」の後に続くAIチャットボットをリリースすることはなかった。しかし、それは今日までの話である。
同社のチャットボットは「Meta AI」という名称で、「Llama 2」に基づき、基本的な質問やクエリーに回答できる標準的なチャットボットの目的を果たす。Meta AIは、Microsoftとの提携により、「Bing」を介してウェブからのリアルタイムな情報を提供する。
このチャットボットには、MetaのAI画像ジェネレーター「Emu」も搭載されている。Emuは、Metaのすべてのチャットプラットフォーム(WhatsApp、Messenger、Instagram)において、品質の高い画像を数秒で生成する。つまり、ユーザーはチャットボットとの会話の中で直接、テキストから画像を作成できる。
Meta AIを起動するには、会話/スレッド内で「@MetaAI /imagine」から始まるメッセージを入力する。
同チャットボットは、新しく発表されたMetaとRay-Banがコラボしたスマートグラスと「Meta Quest 3」で、まもなく利用可能になる予定だ(米国のみ)。
同社は、Meta AIに加えて、さまざまなペルソナと個性を持つ28の異なるAIを構築した。例えば、副料理長とチャットして料理のアドバイスを受けたり、編集者とチャットして執筆を手伝ってもらったりできる。
これらのチャットボットは、実在する人物とチャットしているような感覚を与えて、よりインタラクティブで親密な体験をユーザーに提供できるようにすることを目的としている。
これを実現するために、Metaは資金を投じて(金額は不明だが巨額であることは間違いない)、Snoop Dogg、Tom Brady、大坂なおみ、LaurDIY、Chris Paul、Paris Hilton、Kendall Jenner、MrBeastなど、実在する著名人をペルソナに変換している。
これらのインタラクティブなAIはまだMeta AIのようにリアルタイムな情報にはアクセスできない。2023年よりも前の情報からなる限られたデータベースに基づいており、回答の一部は古い情報である可能性があると、Metaは説明している。
これらのチャットボットは、27日から米国でベータ版として提供が開始され、Meta AIと同様に、Metaのすべてのチャットプラットフォームで利用できる。
発表された既に構築済みのAIチャットボットに加えて、Metaは、ユーザーがオリジナルの体験ができる独自のAIチャットボットをトレーニングおよび作成できるようにすることも発表した。
Meta AI Studioは、コーディングをしない人も含めて、ユーザーがチャットボットを作成できるようにするものだ。
例えば、クリエイターは、自分の人格を再現するチャットボットを作成して、フォロワーとやり取りさせることができる。あるいは小規模企業は、カスタマーサービスを向上させるAIをトレーニングすることが可能だ。NPC(ノンプレイヤーキャラクター)をメタバースに作成して、VR体験の登場人物を増やすこともできる。
Metaはさらに、同社のメッセージングアプリやサービス専用のチャットボットを作成できるAPIを数週間以内に公開するとしている。
人気の高いソーシャルメディアプラットフォームの中で、生成AI機能を搭載したのはInstagramが最初ではないが、今回の最新機能によって、「Snapchat」や「LinkedIn」と互角の競争を繰り広げられる可能性がある。
10月からInstagramに、画像編集のための2つの新しいAI機能「Restyle」と「Backdrop」が追加され、簡単な説明を入力することで画像を変換できるようになる。
Restyleでは、画像にビジュアルスタイルを適用するための指示を入力できる。例えば、Meta ConnectのデモでMark Zuckerberg氏は、飼い犬の写真を折り紙のような画像に瞬時に変換した。Backdropでは、プロンプトを入力するだけで被写体の背景やシーンを簡単に変更できる。
Llama 2とEmuの技術によって、プロンプトを入力するだけでオリジナルの高品質なスタンプも作れるようになる。WhatsApp、Messenger、Instagram、「Facebookストーリーズ」で利用でき、10月から英語圏のユーザー向けに提供される予定だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス