iPhone 15のUSB-Cに「Androidから機種変しやすい」副次効果--中国市場でAppleに追い風か

 9月12日(現地時間)、アップルは毎年恒例のスペシャルイベントを本社横のスティーブ・ジョブズシアターで開催。LightningからUSB-Cに切り替わったiPhone 15シリーズやApple Watch series 9を発表した。


 コロナ禍となり、一時期はオンラインで開催されていたスペシャルイベントだが、昨年からリアルで行われるようになり、筆者も2年連続で現地で取材している。


 昨年のスペシャルイベントと大きく違うのは中国語圏のメディアが、かなりの割合、人数にして数十名(日本人メディアの5倍近い)、参加しているという点だ。

 今年6月のWWDC直前まで、中国の人たちは海外への渡航が難しい状況にあった。そのため、中国語圏のメディア関係者を見かけることは皆無であった。

 しかし、コロナが落ち着いたこともあり、6月ごろから中国から海外への渡航が復活。日本でも中国からの観光客があふれているが、今回のスティーブ・ジョブズシアターでも中国語圏メディアが大挙して訪れていた。

 ただ、最近のニュースを見ると、中国国内でiPhoneに対する逆風が吹いているような雰囲気も垣間見れる。 

 例えば、中国の政府や国有企業でiPhoneなどの海外メーカーの電気機器に対して使用制限が出ているという報道があった。

 政府関係者や国有企業の社員に対して、プライベートのスマートフォンとしてはiPhoneは許されるが、社用のスマートフォンは中国メーカーでなければならないというお達しがあるとされるのだ(のちにデマだったという話も)。

 ここ数年、中国とアメリカではIT分野においての対立が続いている。例えば、トランプ政権時代にはファーウェイに対して禁輸措置を発令。バイデン政権になっても、状況は変わっていない。

 中国政府によるiPhoneの使用制限が拡大すれば、中国国内でのiPhoneの売上げに悪影響が出るのではないかという懸念の声もある。

 実際、アップルにおける地域別の売上げシェア(2023年4〜6月期)は、トップがアメリカの43.3%に対して、中華圏は19.3%と2割近くを誇っている(ちなみに日本は5.9%)。

 iPhoneが中国で売れなくなれば、アップルとしては大きなダメージになりかねない。

 筆者は数年前に上海や北京などのアップルストアを訪れたことがあるが、とにかく中国においてはアップルは、中国国民が自分のステイタスを示すためのブランドとして定着している感がある。政府関係者や国有企業の社員にiPhoneの使用制限がかかっても、全体に占める割合はかなり限定的であり、影響は軽微にしかならない。むしろ、使用が制限されるとなると逆に持ち続けたいという心理が働くだけに、iPhone人気が高まる可能性もある。

 ここ数年、日本のアップルストアで転売目的の集団が連日、大挙して訪れていたことがあったが、あれも円安で海外に比べて安価に買えるiPhoneに群がっていたというのが実態だろう。転売先は中国語圏とされており、中国でのiPhone人気は根強いものがあるのだ。

AndroidユーザーにとってiPhoneへの乗り換えが容易に

 今回、発表されたiPhone 15シリーズはやはりUSB-Cに対応したというのが大きな進化点だろう。


 これまでのLightningケーブルは「MFi認証」といって、アップルがキチンとライセンスした製品でなければ、売れないし、ちゃんと動作しないという制限があった。つまり、市場にはアップルの正規品か、基本的にはサードパーティのメーカーがアップルにちゃんとライセンス料を支払った製品しか流通しないようになっていたのだ。もちろん、他の充電ケーブルに比べて「値段が高い」という弱点があった。

 一方、iPhone 15に接続するためのUSB-Cケーブルには「MFi認証」といったライセンス制度は存在しない。これまで市場に大量に流通している安価な汎用品がそのまま使えるのだ。

 iPhone 15とiPhone 15 PlusならばUSB 2、iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro MaxであればUSB-3での接続が可能だ。

 これまでAndroidスマートフォンやノートパソコンをUSB-Cで充電していた人からすると、iPhone 15に乗り換えやすいタイミングが来たともいえる。これまで購入してきた安価な充電ケーブルやアダプタをそのままiPhone 15シリーズでも使えるからだ。


 これまで「充電ケーブルが増えるのは嫌だ」とiPhoneを拒んできたひとでも、「USB-C、1本で済むなら」とiPhoneデビューする人が増えるかもしれない。

 アップルとしてはMFi認証によるライセンス収入を失うことになるが、一方で、新たにiPhoneを購入するユーザーを増やすチャンスでもある。

 実は中国メーカーはこぞって、USB-Cの充電ケーブルとアダプタを組み合わせ「ウチのスマホは充電が速い」というのをアピールして顧客獲得合戦を繰り広げてきていた。

 つまり、中国のAndroidユーザーの多くは、すでに出力の大きいUSB-C対応の充電アダプタを持っている事が多い。

 これから、アップルとしてはiPhone 15でUSB-Cに切り替えることで、中国のAndroidユーザーからの乗り換えが期待できる。

 だからこそ、アップルは新製品発表会に中国語圏メディアを大量に呼ぶことで、iPhone 15の魅力を中国全土に最大限に伝えたかったのだろう。

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