デジタル大臣を務める河野太郎氏は8月25日、法令に残るアナログ的な規制の見直しによって生じる経済効果について説明した。
日本の法令には多くのアナログ的な規制が残っている。例えば土壌汚染対策法では、報告書の提出媒体として「光ディスク」を指定しており、メールやクラウドを用いた提出を認めていない。
また、河川法や都市公園法では、河川やダム、公園の巡視点検業務において、人が現場で「目視確認」することを求めている。その他、道路交通法では、安全運転管理者講習において、遠方の居住者に対しても講習会場への来訪を求めるなどしている。
政府はこうした「目視」「定期検査と点検」「対面講習」「往訪閲覧と縦覧」「実地監査」「常駐と専任」「書面掲示」などを求めるアナログ規制について、オンラインやAI、IoT、ドローンなどで代替可能な法令、約1万条項の見直しに向けた工程表を公開し、見直しの期限を2024年6月までと定めている。
そして今回、デジタル庁が三菱総合研究所に委託する形で、アナログ規制の見直しによって生じる経済効果を推計。その中間報告が発表された。
中間報告によれば、アナログ規制の見直しによるコスト削減効果が約2兆9000億円、デジタル技術が新たに利用されることによる市場の拡大効果が約9000億円だった。その結果として、GDPが3兆6000億円増加するとした。
また、規制の見直しで業務量として25万人相当の負担軽減に繋がり、少子高齢化で深刻化する人手不足の解消にも貢献するとの見通しが示された。
河野大臣は「アナログ規制の見直しによる効果が非常に大きいことをある程度定量的に示すことができた」とし、「推定される効果が実現するよう、各省で工程表に沿ったアナログ規制の見直しの取り組みをお願いしたい」と述べた。
なお、中間報告では134件のモデルケースで推計し、それを全体に拡大するという形で経済効果を推定した。今後はこれを緻密化し、2024年春頃に経済効果に関する最終報告をまとめるとした。
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