iPhoneのバッテリー「最大容量」が生む誤解--そもそも表示する必要ある?

Adrian Kingsley-Hughes (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2023年08月16日 07時30分

 Appleは「iOS」でバッテリーの消耗度を表す方法を早く改善すべきだ。現在の表示の仕方のせいで、「iPhone」所有者の間で混乱が生じている。大規模なアップデートであれ、小規模なセキュリティアップデートであれ、新しいiOSがリリースされるたびに、筆者のソーシャルメディアと受信箱は、自分のiPhoneのバッテリーについて心配する人からのメッセージであふれかえっている。

iPhone
提供:Jason Hiner/ZDNET

 何を言っているか分からないという方のために、説明しておこう。

 iPhoneを手に取って、「設定」をタップし、「バッテリー」>「バッテリーの状態と充電」の順に進んでほしい。

 その画面に、「最大容量」のパーセンテージが表示されているはずだ。

 最大容量は、最初は100%になっており、iPhoneの充電と放電が繰り返されるにしたがって、徐々に減少していく。

バッテリーの状態と充電画面
iPhone所有者の間で大きな混乱を引き起こしている数値がバッテリーの「最大容量」だ。
提供:Adrian Kingsley-Hughes/ZDNET

 本記事の狙いは、この数値に関するいくつかの誤解を解くことにある。

  1. さまざまな誤解
    1. この数値はバッテリーの消耗度を示す1つの尺度に過ぎない
    2. iOSのアップデートが原因でバッテリーが消耗することはない
    3. 最大容量が80%まで減っても使えなくなるわけではない
  2. 何が問題なのか
    1. 最大容量のパーセンテージには意味がない
    2. 最大容量は現代のiPhoneの問題を浮き彫りにしている
  3. 解決策

さまざまな誤解

1. この数値はバッテリーの消耗度を示す1つの尺度に過ぎない

 最大容量の数値は、バッテリーの全体的な消耗度を示すものではなく、「新品時と比較したバッテリー容量の基準」である。言い換えると、バッテリーが保持できる電力の容量を表している。

 容量が少なくなると、バッテリー持続時間が短くなる。

 だが、これはバッテリーの状態を示す指標としては不十分だ。この数値が90%台であるにもかかわらず、バッテリーが機能しなくなった事例を見たことがあるし、この数値が70%台であるにもかかわらず、何とか動作し続けているiPhoneを見たこともある。

2. iOSのアップデートが原因でバッテリーが消耗することはない

 アップデートが原因でバッテリーが消耗することはない。バッテリーを消耗させるのは、iPhoneを使う時に通常行うバッテリーの充電と放電、バッテリーの過熱などだ。低品質の充電器やケーブルの使用が原因になることも、ごくまれにある。

 また、iPhoneを充電しっぱなしにしたり、いつも充電を途中でやめたりしていると、誤った最大容量の数値が表示されることがある。アップデート後に数値が急増した事例を見たこともある。だが、それらがバッテリーの消耗を引き起こしているわけではない。iOSが誤った数値を表示する原因になっているだけだ。

3. 最大容量が80%まで減っても使えなくなるわけではない

 こうした誤解が広まっているのは、Appleが掲載している情報に原因があると思う。

 Appleは充電サイクルとそれがバッテリーに及ぼす影響に関する情報を公開している。それによると、iPhoneのバッテリーは、「フル充電サイクルを500回繰り返した時に、本来の容量の最大80%を維持できるように設計」されているという。

 これを読むと、最大容量が80%まで減ると、バッテリーが使えなくなるという印象を受ける人もいると思う。

 バッテリーは間違いなく消耗しているが、新品時に持続時間が10時間だったとすると、それが8時間になるというだけのことだ。これを問題だと感じない人もいるかもしれないし、そのバッテリーはまだ何カ月も使用できるかもしれない。

それでは、何が問題なのか

 ここには、2つの問題がある。

1. 最大容量のパーセンテージには意味がない

 おそらく、Appleはこの情報を提供することで、ユーザーの役に立ちたいと考えていたのだろう。あるいは、単に「設定」アプリの画面上のスペースを埋めたかっただけなのかもしれない。

 いずれにせよ、これは1つの数値に過ぎず、バッテリーの全般的な状態を表すものではない。Appleはこの数値の表示をやめて、充電サイクルなど、もっと意味のある数値に置き換えた方がいいだろう。バッテリーの状態を表す、もっとうまい方法を考え出してもいいかもしれない。

 ちなみに、この数値は最新の「iOS 17」ベータ版でも削除されていない。

2. 最大容量は現代のiPhoneの問題を浮き彫りにしている

 その問題とは、頻繁に充電する必要があることだ。1回充電すれば、何日も使える時代は終わった。

 逆に言うと、私たちがiPhoneにかけている負担の大きさに対して、バッテリー容量が少なすぎるということだ。

 iPhoneのバッテリーを毎日ほぼ完全に使い切っている場合、約1年4カ月で500回の充電サイクルに達する。バッテリー容量の約50%を毎日使用している場合は、約3年かかることになる。

 筆者自身と他の人の使用状況を見ると、多くの人は1回の充電で何とか1日を乗り切っている感じだ。したがって、同じような人は2年以内に500回の充電サイクルに達するだろう。

解決策

 この問題を解決する方法は3つある。ユーザーがiPhoneの使用を減らすこと、Appleがより大容量のバッテリーを搭載すること、そして、iPhone所有者にバッテリー交換の権利を認めることだ(最後の解決策は、「Android」スマートフォンにも当てはまる。Androidデバイスのバッテリーも同じように消耗するからだ)。

 解決策は、以上である。

 バッテリーを長持ちさせる方法についてブログ記事やYouTube動画は次から次へと公開されているが、何をやっても、バッテリーの最大容量の数値をずっと100%に保つことはできない。たとえiPhoneを引き出しの中に入れっぱなしにしたとしても、それは不可能だ。

 時間の経過と共に、バッテリーが消耗していくのは避けられない。

 最善の解決策は、かつてのガジェットのように、所有者が自分で簡単に交換できるバッテリーをAppleが設計することだ。それが実現するまで、バッテリー消耗の問題が解決されることはないだろう。そして、所有者はバッテリーを交換してもらうか、それとも新しい端末を購入するかの選択を迫られる。

 なぜなら、物理の法則を変えることはできないからだ。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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