これまで属人的だった営業やインサイドセールスの業務を見える化し、最適なアプローチへと導くSaaS「シナリオリード」が本格的にサービスを開始する。「セールスエンゲージメント=顧客接点をつくるプラットフォーム」として、営業内容の検討やメールの作成といった作業時間を削減したり、最適なアプローチを組織に展開したりすることで、顧客との商談数増加へと結びつける。
手掛けるのは、2021年に設立したログポート。8月30日には、インキュベイトファンドを引受先とする第三者割当増資により、1億円の資金調達を実施し、サービスの正式リリースを発表。調達した資金はプロダクトのさらなる拡張と改善、新規採用などに充てる。
「前職リクルートでは、IT部門の企画職に就いており、テクノロジーの進化を肌で感じていた。一方で、営業の現場業務を見ると、属人的な世界のままで以前とそれほど変わっていない。テクノロジーが進む中、営業の仕事はどうすれば進化できるかと考えたのが起業のきっかけ。起業前の数年間は、リクルートの営業現場に身をおき、営業DXを推進してきた」。
シナリオリードは、これまで営業担当者ごとに異なっていた営業アプローチの仕方をデータ化し、共有することで最適な営業方法が発見できるというもの。松原氏はこの状態を「営業アプローチをデータで科学する」と表現する。
「営業の仕事は個人ごとに質が異なる。最適なやり方を共有することで、チームで成果が出せる状況を作り出すのがシナリオリード。営業やインサイドセールスの担当者は出社後、シナリオリードを見ることで、誰に、いつ、どんなアプローチをすればよいのかサジェストされる。メールの文面も企業属性ごとに最適なものを用意して共有することで、顧客に刺さるメールの文言を全員が使える」(松原氏)と話す。
シナリオリードでは「コール」「手動メール」「自動メール」「その他のタスク」など最適な営業アプローチの流れをデータ化して社内で共有。「Salesforce」などのCRMと連動することで、自動的にすべての情報がログとして残り、仕事内容の転記などの作業も不要だ。
すでにいくつかの会社で、クローズドの状態で導入が進んでおり、組織全体の商談件数が2倍以上になったなどの実績も出ているとのこと。「実際に使ってもらうことで、プロダクトを改善してきた。メール作成は、件名に顧客の名前を入れたり、『先程お電話した件ですが』などの文面のパーソナライズ化も可能。電話とメールを組み合わせてアプローチすることで反応率が上がることもわかった」(松原氏)と、独自の営業手法も積み上げる。
中でも力を入れたのがユーザービリティの強化。「早い人は3日程度で、時間がかかる方でも2週間もせずに使えるようになる。このあたりは導入企業の方に徹底的に話しを聞き、寄り添いながらプロダクトを開発してきたからだと考えている」(松原氏)と開発の背景を明かす。
「正式ローンチ前のベータ版はこれまで1年ほどクローズドで提供してきた。理由は、組織全体の現場業務の中で日常的に利用されて、定量的な成果が出せるサービスであると証明できた上で正式ローンチしたかったから」(松原氏)とサービスの高精度化に力を注いできた。
シナリオリードは5年間で500社の導入を目指すとのこと。松原氏は「営業やインサイドセールスの実務における課題は何より肌で感じたもの。この領域のポテンシャルはかなりあると思っているので、導入先を増やしていきたい」とした。
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