ユーザーが実在する人間であることを証明できるよう、Sam Altman氏が採用したのは虹彩スキャンだ。
OpenAIの最高経営責任者(CEO)であるSam Altman氏が米国時間7月24日に正式に立ち上げた仮想通貨プロジェクト「Worldcoin」(WLD)は、ユーザーに「World ID」を発行することによって、デジタル認証プロセスを再定義することを目指している。World IDは、そのIDの所有者が実在する人間であることを証明するものだ。
OpenAIが「責任ある」AGI(汎用人工知能)の構築に向けて取り組みを進める中、 Altman氏は、「ChatGPT」のようなAIチャットボットが高い人気を集めていることを踏まえ、人間のプライバシーを守ることの必要性を認識しているようだ。生成人工知能(AI)をはじめとするAI技術の進歩に伴い、実在しない偽のアイデンティティやボットを作成・運用しやすくなっており、インターネット上での人間とAIの判別はますます難しくなっている。
World IDは、デジタルパスポートのように機能し、ユーザーの実世界の身元の匿名性を維持したまま、実在する人間であることを証明する。これによって、プライバシーを守り、アイデンティティを標的とした悪意あるサイバー攻撃からユーザーを保護できる。
World IDを発行してもらうには、生体認証装置「Orbs」が設置されている場所を実際に訪れて、顔と虹彩をスキャンする必要がある。Orbsは、サッカーボール大の銀の球で、世界中のさまざまな場所に戦略的に配置されており、通常は予約をして訪問する。
「World App」をダウンロードすると、Orbを訪れてWorld IDを作成することで身元を証明した上で、人間だけが受け取れるWLDトークンを受け取るよう促される。
この仮想通貨プロジェクトの正式な立ち上げの発表をもってWLDの取引が開始し、その価格は、初値の1.70ドルから3.58ドルまで急騰した。Binanceやその他の取引所に上場されて、24日午前に1億4500万ドル(約200億円)相当が取引され、取引価格は29.4%上昇した。
現在、米国ではロサンゼルス、ニューヨーク、マイアミ、サンフランシスコなど、11カ所にOrbが設置されている。WorldcoinのOrb設置場所は世界中で拡大されていると報じられており、20カ国35都市に設置されている。ただし、ベータ版提供期間中に既に、世界中で200万人を超えるユーザーがスキャンを終えている。
Worldcoinの創設者らにとってこれは、経済的平等、資金の民主的分配、そして究極的にはユニバーサルベーシックインカム(UBI)に向けた一歩だ。「Worldcoinは、世界規模での連携への試みであり、その道のりは困難で、結果は不確実である」と、創設者らは同プロジェクトを紹介する書簡の中で説明している。
「成功すれば、Worldcoinは経済的機会を飛躍的に拡大し、プライバシーを守りながらオンラインでAIと人間を区別するための信頼できるソリューションを拡大し、グローバルな民主的プロセスを実現し、最終的にはAIが資金を提供するUBIへの潜在的な道を示すことができるとわれわれは信じている」と、書簡には説明されている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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