2023年は折りたたみスマートフォンの当たり年となりそうだ。すでにGoogleやMotorolaからは折り曲げ可能なディスプレイを搭載した新型デバイスが登場。サムスンも先ごろ、「Galaxy」シリーズの縦折り型、横折り型モデルに新バージョンを追加した。しかし、2023年の折りたたみスマートフォン競争に加わろうとしている企業がもう1社ある。OnePlusだ。
2023年2月、OnePlusは同社初の折りたたみスマートフォンを2023年後半に発売すると発表した。その後は沈黙を続けていたが、遠からず続報を聞くことができるだろう。毎年夏の終わりから秋の初めにかけては、多くのテクノロジー企業が新製品を発表する傾向があるからだ。
OnePlusの折りたたみスマートフォンの詳細はまだ明らかになっていないが、筆者はいくつかの理由から、この製品の登場を心待ちにしている。OnePlusは、強力なハードウェアを持つ魅力的なデバイスを競合他社よりも低価格で出してきた。また、折りたたみスマートフォン市場の競争が激しくなることは、消費者にとっては選択肢が増えることを意味する。
筆者がOnePlus初の折りたたみスマートフォンに注目している最大の理由は、同社が質の高いハードウェアを採用したスマートフォンを低価格で販売することで定評があるからだ。2014年に発売されたOnePlus初のデバイスはAndroidファンを唸らせるものだった。5.5インチの広々としたディスプレイと高速なプロセッサーを搭載しているにもかかわらず、価格は当時サムスンやHTCが販売していたスマートフォンより数百ドル(数万円)も安かった。
近年のOnePlus製品は、サムスンやGoogleなど競合他社の価格帯に近づきつつあったが、最近発売された「OnePlus 11 5G」は、ハイエンド機の機能を安価に提供する「フラッグシップ・キラー」の名に恥じないものだった。米CNETのAndrew Lanxon記者は2023年初めに公開したレビュー記事の中で、OnePlus 11 5Gの超高速充電、パワフルな性能、洗練されたデザイン、5年間のセキュリティサポートを賞賛した。このすべてが入って価格はわずか699ドル(約9万8000円)。サムスンの「Galaxy S23」エントリーモデルの800ドル(日本では13万6330円から)よりも安い。
その一方で、Googleという新たなライバルが登場した。サムスンに対抗するために、Googleが「Pixel」シリーズのスマートフォンを思い切った低価格で売り出した結果、OnePlusのコストパフォーマンスが目立たなくなってしまった。しかし、OnePlus初の折りたたみスマートフォンは、同社の評判を復活させる機会になるかもしれない。GoogleのPixelは、標準モデルこそサムスンやAppleの競合製品よりも安いが、折りたたみモデルは1800ドル(日本では25万3000円)からという驚きの高価格だ。横折り型ではなく、縦折り型のモデルも、ほとんどの場合は一般的なスマートフォンより高い。サムスンの「Galaxy Z Flip4」とMotorolaの「razr+」は、最安モデルで約1000ドル(約14万円)となっている。
OnePlusから登場する折りたたみスマートフォンが縦折り型か、横折り型かは不明だが、同社に詳しいSteve Hemmertoffer氏(通称OnLeaks)がブログ「SmartPrix」に投稿したリーク画像によれば、横折り型の可能性が濃厚だ。OnePlusがどのようなアプローチを取るにせよ、折りたたみスマートフォン市場に手頃な価格の選択肢が増えることを期待したい。
現在、折りたたみスマートフォン市場はサムスンがほぼ独占している。Counterpoint Researchの調査によれば、2022年上半期の同社の市場シェアは62%に上る。サムスンは2019年に初の折りたたみスマートフォンを発売して以来、この市場では最古参の大手スマートフォンメーカーの1つとして、Googleなどの後発企業より有利なポジションを確保してきた。しかし、競争が激しくなれば選択肢も増える。筆者がOnePlusの参入を楽しみにしている理由はここにある。
OnePlusの折りたたみスマートフォンが成功するかどうかは分からないが、同社の参入自体が市場を刺激し、サムスンやMotorolaはデザインをさらに洗練させ、新たな機能を追加し、願わくは価格を引き下げることになるかもしれない。同じような現象はスマートフォン業界の他の分野、特にニッチなデバイスの市場でも起きている。例えば2022年、Googleのコスパモデル「Pixel 6a」が人気を博すと、サムスンは同価格帯の「Galaxy A54」に高リフレッシュレート、洗練されたデザイン、大容量バッテリーといった、通常なら上位モデルに搭載されるような機能を搭載した。
折りたたみスマートフォンが増えれば、この種の端末の製造に必要な部品も一般化していく。部品が手に入りやすくなり、製造工程が簡素化されれば、折りたたみスマートフォンをもっとリーズナブルな価格で入手できるようになるだろう。
折りたたみスマートフォンの最重要パーツがディスプレイであることは論を待たない。折りたたみスマートフォンがタブレットになったり、自撮り用の内蔵「三脚」になったりするのも、ディスプレイを折り曲げられるからだ。もし報じられているうわさが事実なら、OnePlusの外側ディスプレイと内側ディスプレイはサムスンやGoogleの折りたたみスマートフォンよりも大きい。
ブログ「MySmartPrice」に投稿されたHemmerstoffer氏による別のリーク情報によると、OnePlusの折りたたみスマートフォンのディスプレイは外側が6.3インチ、内側が7.8インチになるという。これが事実なら、どちらのディスプレイもサムスンのGalaxy Z Fold4のディスプレイ(外側6.2インチ、内側7.6インチ)よりわずかに大きい。ちなみにGoogleのPixel Foldのディスプレイは外側が5.8インチ、内側が7.6インチだ。
しかし、大きければいいわけではない。例えばPixel Foldの外側ディスプレイはGalaxy Z Fold4の外側ディスプレイよりも小さいが、横幅が通常のスマートフォンと近く、アプリの見え方が自然なので、筆者はPixel Foldの幅広デザインの方が気に入っている。
サムスンは7月26日に開催した「Unpacked」イベントで新モデル「Galaxy Z Fold5」を発表したが、新モデルでもアスペクト比は前モデルを踏襲している。
総じて言えば、OnePlusの参入は、スマートフォンの未来が折りたたみスマートフォンにあると業界各社が考えていることを示す1つの証拠だ。しかし、折りたたみスマートフォンが通常のスマートフォンのように世界中で使われるようになるためには、価格の引き下げ、ソフトウェア機能の強化、堅牢性の向上を実現する必要がある。これは1社の努力だけでは達成の難しい条件だが、OnePlusのように折りたたみスマートフォン市場に参入する企業が増えていけば、業界はその達成に少しずつ近づくことができるだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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