LINE証券、証券事業を野村證券に移管--証券業務から撤退、外国為替証拠金取引に集中

 LINE Financialと野村ホールディングスの合弁会社であるLINE証券は6月12日、金融サービス事業を再編すると発表した。証券口座の預かり資産は野村證券に引き継ぎ、LINE証券は外国為替証拠金取引を軸としたサービスを展開する。

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 事業再編では、会社分割(吸収分割)の方法により、証券事業を野村證券に移管する。「いちかぶ」「投資信託」「取引所取引」「信用取引」「つみたてNISA証券サービス」は、買い付けなどを順次停止する。同社での売却(解約)可能期間を経過後に預かり資産が残っている場合は、2024年中に預かり資産を野村證券へ移管する予定。

 移管後は、野村證券の証券サービスを提供する。一方、LINE証券は引き続き、外国為替証拠金取引サービスの「LINE FX」を提供していく。

 また、「LINEのiDeCo」は新規の申し込み受け付けを終了。既に契約済みのiDeCoは、引き続き野村證券が管理するという。差金決済取引サービスの「LINE CFD」についても、8月以降順次新規建てを停止。2023年12月までに決済を行った上、2024年3月末までに口座閉鎖を実施する予定となっている。

 事業再編は2024年中の完了を予定。金融サービス事業に変更は生じるが、同社が預かる顧客の資産は信託保全などの法令に従った分別管理をしており、影響はないという。なお、開示すべき事項を決定した場合は、速やかに公表するとしている。

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 LINE証券は、コミュニケーションサービス「LINE」のユーザーベースに加え、ユーザビリティの高いUI/UXと、野村グループが培ってきた金融ビジネスのノウハウを生かして2019年8月、国内株式を1株単位から取引できるいちかぶの提供を開始。LINEを通じた証券や関連する各種サービスも順次導入し、LINE FX、LINE CFD、つみたてNISAなど、さまざまな商品、サービスを提供してきた。2022年9月末時点での総口座数は150万超で、中でもFX口座の開設数は2022年12月末時点で57万口座を超えるなど、成長を遂げているという。

 しかし、同社を取り巻く経営環境の変化や各事業の収益性の見通しを踏まえ、最適な経営資源の配分を検討。事業を再編することがLINE証券の持続的かつ一層の成長につながるとともに、LINE証券の顧客をはじめとした各ステークホルダーにとって最善と判断したとしている。

 なお、LINEグループは、ヤフーやZホールディングスらとの合併を含むグループ内再編方針を踏まえ、収益力および、プロダクト創出力の更なる向上を目指している。野村ホールディングスも、自社でのアプリ開発やウェブサービスの充実など、デジタルサービスの強化を進め、今後は独自のデジタル戦略に経営資本を投下することが成長に資すると判断。こうした状況も踏まえ、金融サービス事業の再編に合意したという。

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