京セラにFCNT--相次ぐ日本勢のスマホ撤退で、シャープに「強烈な神風」が吹き始める - (page 2)

高耐久、シニア、キッズ向け需要がシャープに一極集中へ

 京セラとFCNTがスマホ市場から退場することで、強烈な神風がシャープに吹き始めようとしている。

 京セラとFCNTが得意としていたシニアとキッズ向けのデバイスの発注が、各キャリアからシャープに舞い込むことだろう。シャープにはすでにシニアとキッズ向け、さらに2万円程度のAQUOS wishシリーズも手がけるなど、全方向でラインナップが揃っている。

 今後、ひょっとすると、京セラが手がけていた「TORQUE」の代わりとなるようなスマートフォンもシャープに発注が向くことも考えられる。

 もうひとつの日本メーカーであるソニーは、独自の路線を築いている。ソニーではYouTuberなど映像や音楽制作を手がけるクリエイターに向けた製品展開に注力している。

 デジタルカメラ「α」シリーズも、最近は「VLOGCAM」として、VLOGをしているユーザーに向けた新製品ばかり出している。

 先頃、発表されたばかりのXperia 1 Vも、VLOGCAMで人気の機能を取り込むなど、クリエイターエコノミーを徹底的に意識している。

 ソニーとしてはテレビやデジカメなどで価格競争はせずにプレミアムな路線を突き進んだ。これにより、家電事業は大儲けはしないが、なんとか事業を継続できるだけの体力を維持している。スマートフォンもXpeira 10シリーズはあるものの、中国メーカーに対抗するような製品は出さず、いたずらに台数を追うようなことはしなくなったことで、なんとか事業を継続できている。

 個人的には「シンプルXperia」「Xpeiraキッズ」のような企画端末があっても、面白いような気もするが、ソニーはあくまでハイエンドを突き進むXperiaしか出さないだろう。

「3G停波」もシャープに追い風

 スマホ業界的には2024年1月31日にソフトバンク、2026年3月末にNTTドコモが3Gサービスの停波を控えている(KDDIは2022年3月31日に終了済み)。

 総務省が今年3月に発表した「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ(令和4年度第3四半期(12月末))によれば、3G契約はいまだに1433万件も残っているという。

 つまり、ガラケーを使っているユーザーに対して、4Gに対応したケータイ、もしくはスマートフォンへの乗り換えをしてもらう必要があるのだ。

 いまだに3G契約という人は、当然のことながら、通信料金も安価に収まっており、高価な端末に買い換える人は限られている。これまでケータイを使っていたような人が手に取りやすい価格帯のスマートフォンをNTTドコモとソフトバンクは用意しなくてはならない。

 日本メーカーのケータイを愛用していた人がOPPOやXiaomiといった中国メーカーのスマートフォンに乗り換えるには、ハードルがやや高いと思われる。

 NTTドコモは親会社の影響からか中国メーカーの端末調達を敬遠しているようにも見えるため、シャープに頼らざるを得ないだろう。

 もちろん、ケータイからの乗り換えとして、iPhoneやPixelなども候補には挙がってくる。しかし、ケータイを使ってきたユーザーからすると、実態はさておき、一般的には「日本メーカー」に見えるシャープのほうが安心感がありそうだ。

 京セラとFCNTが脱落したいま、シャープが今後、1000万件規模の3Gユーザーをどれだけ獲得できるかが、注目と言えそうだ。

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