ライオンは5月22日、TANOTECHと共同で開発・販売している介護ゲーム機「TANO-LT」をプレス向けに披露した。
TANO-LTはモーションセンサー付き介護ゲーム機で、口腔・睡眠・運動器の3つの機能を同時に鍛えることで、脳機能を高めるライオン独自開発の「健口眠体操」を搭載しているのが特長だ。
5分間で21種類の運動ができ、高齢者が安全に実施しやすい座って行うトレーニングのみを選定。体を動かしたくなる明るい音楽にのって運動でき、トレーニングの様子をモニターを通じて可視化するとともに出来具合を点数化することでゲーム感覚でトレーニングができる。
2022年9月から介護施設向けにTANO-LTの先行導入を開始しており、複数の施設で利用実績を持つ。先行導入などで得たフィードバックをもとに改善を重ね、ライオンはいよいよ本格的にTANO-LT展開していく方針という。導入価格は、平均で130万円~。
HITOWAケアサービスの介護付き有料老人ホーム「イリーゼ練馬石神井台」では、施設利用者14名が週に2~3回、30分間利用したところ、歩くスピードや、唇の開閉能力が上昇し、その後2カ月後も維持。定期的なトレーニングが、運動・口腔の機能双方に効果を及ぼす結果が得られた。
さらに利用者からは「日常生活の中で歩きやすくなった」「食べ物が食べやすくなった」といった声が得られ、よい変化が生まれているという。
ライオン 研究開発本部 戦略統括部 イノベーションラボの物井則幸氏は、口腔と全身健康は密接な関係にあり、歯周病がアルツハイマー発症に関与することや残存歯数が認知症発生リスクに関与していることが明らかになっていると説明する。認知症予防の観点でも、口腔内を衛生に保つことが大切だと語った。
2025年には、日本国民の3人に1人が65歳以上となり、約5人に1人が75歳以上という超高齢化社会を迎える。人口と労働力、医療、介護、税金などからの観点からも、健康寿命の延伸が急務となっている。
健康寿命の延伸に、適度な運動が効果的であることが明らかになっている一方で、習慣化には大きな課題があると指摘する。高齢者が楽しみながら実施できるよりよい運動習慣作りがTANO-LTプロジェクト誕生の背景だと説明した。
ライオンは、2030年に向けた中期経営戦略フレームとして、経営ビジョンに「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニー」を掲げる。ライオンの事業は、オーラルケアや洗剤などのファブリックケアなどに代表される一般用消費財事業が59%を占めるが、TANO-LTのような新たな取り組みにも力を入れている。
このほかにも、口から全身の健康とQOL向上を考える「オーラルヘルス」の分野として、2022年7月に法人向けウェルビーイングサポートサービス「おくちプラスユー」、11月からアプリを使った口のフィットネスサービス「ORAL FIT」を販売を開始している。
また、2023年3月に米国オースティンで開催されたSXSW2023にもライオンとして初出店し、TANO-LTの特設ブースを設置。4日間で、約5000名がTANO-LTを体験したという。
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