Pixel Foldの最大の特徴はディスプレイが2つあることかもしれない。しかし、この特徴を活かせるかどうかはソフトウェア次第だ。Googleはデュアルディスプレイの効果的な使い方をいくつか提案している。
ひとつは、外側のディスプレイと内側のディスプレイを連携させた翻訳であり、「Google翻訳」を使ったデモが披露された。まずPixel Foldを開き、外側のディスプレイが相手の方を、内側のディスプレイが自分の方を向くように構える。その状態で、Google翻訳に何らかのフレーズや質問を伝えると、翻訳結果が外側のディスプレイに表示される。相手はそれを見て回答し、その内容を翻訳した結果が自分の方を向いている内側のディスプレイに表示される。
これは特殊なケースかもしれないが、ディスプレイがひとつしかない普通のスマートフォンではできないことであり、折りたたみスマホの可能性を示す強力なユースケースだ。Googleは、デュアルディスプレイの活用方法としてカメラも挙げている。Pixel Foldを開き、背面のメインカメラを自分に向けてセルフィーを撮る場合、外側のディスプレイをファインダーとして利用できる。
Pixel Foldには、Galaxy Z Foldや各種のタブレット、折りたたみスマートフォンに備わっているマルチタスク機能もひと通り備わっている。例えば画面分割アプリ、画面下部のタスクバー、アプリを並べて使うときのドラッグ&ドロップ対応などだ。この他、端末を半分に折りたたんだ際にアプリを上下のディスプレイに分けて表示する機能もある。Googleが「テーブルトップモード」と呼ぶこの機能は、実質的にはサムスンの「フレックスモード」と同じものだ。
同社によれば、すでに50の人気アプリがPixel Fold用に最適化されているという。ただし、ここでいうアプリはGoogle製のアプリであって、「Google Play」ストアで扱われているアプリ全体ではない。
Pixel Foldは上々の仕上がりに見えるが、価格が価格だけに購買層は限られるだろう。これまでPixelシリーズのスマートフォンは競争力のある価格で発売されてきたため、筆者はPixel Foldも値頃感のある価格で登場するのではないかと期待していた。
しかし、折りたたみスマホは一般的なスマートフォンよりも大きく、複雑な構造をしており、部品の数も多いため、価格を抑えにくいとRakowski氏は説明する。しかし今後製造工程が改善されるにつれて、価格が下がる可能性はあるという。
「スマートフォンの歴史と同じだ」とRakowski氏は指摘する。「製造工程が最適化され、大量生産が可能になり、利益率が上がるにつれて、部品のコストは下がっていく」
価格の問題はあるものの、新しい折りたたみスマートフォンが登場し、サムスンの好敵手が現われたことはうれしいニュースだ。今後Pixel Foldのユーザーが増えていけば、Pixelシリーズの通常モデルと同じように、GoogleはPixel Fold向けのソフトウェアを充実させようと考えるだろう。これは、筆者にとって新しいモデルの登場よりも、わくわくさせられることだ。
Googleが今後、折りたたみディスプレイのどんな使い方を提案してくれるか楽しみだ。定期的に予定されている「Feature Drop」で発表されることを期待している。楽しみなのはPixelの進化だけではない。Googleの参入はサムスンを刺激し、サムスンの折りたたみスマホにも新機能が追加されるかもしれない。その結果、折りたたみスマホ市場全体に、さらなるイノベーション(と値下げ)がもたらされることを期待したい。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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