VRヘッドセット「VIVE XR Elite」--ハードウェアに飛躍的な進化の兆しも、買うには早い

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 編集部2023年04月25日 07時30分

 HTCの「VIVE XR Elite」は、次世代の仮想現実(VR)/拡張現実(AR)を予見させる、過渡期のデバイスという印象を受ける。この大きな丸い目のついた艶やかに光るゴーグルは、複合現実(MR)を楽しめるコンパクトなスタンドアロン型ヘッドセットへの道を開くものとなるだろう。しかし、持ち運べる小さなMRデバイスという夢は、いくつもの複雑な問題を抱えている。

Vive XR Elite
提供:Scott Stein/CNET

 VIVE XR Eliteは折りたたむことができるが、ゴーグル部分だけでは機能しない。他にバッテリーパックやVRコントローラーもいる。眼鏡を手放せない人は、ゴーグルの下に装着するアダプターも必要だ。このようにVIVE XR Eliteは複数のデバイスで構成されたキットであり、その意味では「Meta Quest Pro」とかなり近い。ただし、別のバッテリーパックやノートPCにつないで給電する場合は、本体のみでも利用できるので、サイズはぐっと小さくなる。

VIVE XR Elite
黒いバッグに入ったVIVE XR Eliteは驚くほど小さく見える
提供:Scott Stein/CNET

 このHTCから発売された意欲的なVRハードウェアは、確かにQuest Proよりは眼鏡に近い印象を受ける。そのたたずまいは、VR/ARハードウェアの世界で巻き起こる、飛躍的な進化の兆しを感じさせるものだ。

 VIVE XR Eliteは、Quest Proと同様に、形を変えたVRヘッドセットだ。カメラが捉えた現実世界の映像にVRオブジェクトやVR体験を重ねる「MR」にも対応しているが、この機能をフルに活用したアプリはまだ多くない。

 しかし、うわさされているAppleのMRデバイスやMetaの「Quest 3」に先立って発売された、この1099ドル(日本では17万9000円)のVRヘッドセットは、まだ完全には実現していない、ヘッドセットの未来を予見させる仕上がりとなっている。

デザイン:モジュラー化されたデバイス

 MetaのQuest Proと並べて置くと、VIVE XR Eliteの本体は驚くほど小さい。これは、多くのパーツが取り外せるようになっているからだ(バッテリーパックを外した状態でも使用できる。その場合は直接ノートPCに接続するか、別途用意したバッテリーパックを利用する)。ゴーグル自体も小型化している。鏡面仕上げのフロントパネルはQuest Proほど広くはなく、レンズも小さい。

Meta Quest ProとVive XR Elite
Vive XR Eliteをグラスモード(バッテリークレードルを外した状態)にすると、Meta Quest Pro(左)よりもかなり小さい
提供:Scott Stein/CNET

 このため、眼鏡をかけていない状態で装着すると顔に圧迫感を感じることがあり、眼鏡をかけた状態で装着すると、ゴーグルの端から周辺の景色が視野に入り込む恐れがあるが、HTCはこれを「MRモード」の利点と位置付けている。つまり、Quest Proと同様にVRグラスをかけている感覚であり、レンズを通して別の世界を眺めつつ、現実世界の断片も見えるというわけだ。集中できないのではないかと思うかもしれないが、筆者の場合は使っているうちに目が慣れた。

VIVE XR Eliteを装着した筆者
VIVE XR Eliteを装着するとヘッドセット下部にスペースができる。つまり、VRの世界もスマホも見れる
提供:Scott Stein/CNET

 何カ月か前にラスベガスでVIVE XR Eliteのデモ版を触ったときは、通常の眼鏡をかけた状態では装着できなかったが、製品版では新しいマグネット式のアタッチメントを使うことで、眼鏡をかけたままヘッドセットを装着し、額と接するパッドで支えられるようになった。ただし、このアタッチメントはバッテリーを装着した状態でなければ使用できない。バッテリーを外した状態(グラスモード)ではアタッチメントが顔からずれてしまう。また、アタッチメントに鼻当てはついていない。バッテリーを付けた状態だと、VIVE XR EliteはQuest Proをやや小さくしたような印象になる。

眼鏡用アタッチメントを付けたVIVE XR Elite
眼鏡をかけた状態でVIVE XR Eliteを装着するためのフェイスプレート。グラスモードでは使用できない
提供:Scott Stein/CNET

 LCDディスプレイは、片目1920×1920ピクセル、有効視野角は最大110度で、視野は全体に良好だ。眼鏡をかけた状態でヘッドセットを装着すると、Quest Proよりもレンズを通した景色はゆがんでいるように感じられた。しかし、眼鏡をかけない人なら目とヘッドセットの距離がもっと近くなるため、こうした感覚はないかもしれない。VIVE XR Eliteの大きな魅力は、レンズの度数を0から-6の範囲で自動調整してくれるところだ。残念ながら、筆者の目は(-8強のため)この範囲には入らなかった。2つのレンズの間隔を広げたり狭くしたりするスライダーも用意されており、自分に合った瞳孔間距離(IPD)に調整できる。

Vive XR Eliteのレンズ
提供:Scott Stein/CNET

 音声はサイドアームから聞こえる。このため、Meta Quest Proのような空間オーディオによるサラウンド体験が可能であり、ヘッドホンは必要ない。Quest Proと違い、ヘッドホン端子は用意されていない。

 グラスモードから、バッテリーパックを装着したゴーグルモードへの切り替えはやや面倒だ。グラスモード用の2本のプラスチック製アームを外したら、そこにバッテリーパック用の調節可能なヘッドストラップをはめ込む。着脱を繰り返すうちに、ヘッドストラップに使われているプラスチックが摩耗したり、破損したりするのではないかと心配になった。

 VIVE XR Eliteは、本体は小さいがコントローラーは大きい。VIVE XR Eliteには、法人向けVRヘッドセット「Vive Focus 3」に付属しているものと同じ、Oculus風のUSB-C充電対応のプラスチック製コントローラーが同梱されている。トリガー、ボタン、アナログスティックのついた標準的なデザインだが、コンパクトな本体と比べると、大きすぎるという印象だ。ちなみにQuest Proの新しいコントローラーは小型化されており、カメラを用いた独自のセルフトラッキング機能も搭載している。VIVE XR Eliteのコントローラーも、本体と合わせて小型化されていれば、携帯性が高まって良かったように思う。

 VIVE XR Eliteには、Quest Proのようなアイトラッキング機能はないが、今後、有料のアドオンとしてリリースされる予定だ。この機能が標準搭載でないことは、個人的には気にならない。

VIVE XR Eliteのコントローラー
提供:Scott Stein/CNET

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