米環境保護庁(EPA)は米国時間4月12日、乗用車とトラック、およびその他のライトデューティー(総重量が8500ポンド=3855.5kg以下の車両を指すカテゴリー)車両を対象とした新しい厳格な排出基準を提案した。この基準が採用されれば、2032年までに電気自動車(EV)が販売数に占める割合が10倍近くにまで増える可能性がある。
EPAのMichael S. Regan長官が電話会見で「極めて野心的な提案」と語ったこの基準は、2026年に失効が予定される現行の排出基準を大幅に拡大し、過去の基準が定められたときには利用できなかったクリーンカー技術を採用できるようにするものだ。
「乗用車やトラックを対象としたかつてないほど野心的な基準を提案することで、私たちは人々と地球を守るというBiden-Harris政権の公約を実現し、危険な大気汚染や気候汚染を確実に削減し、各家庭に燃料費や維持費の削減といった大きな経済的メリットをもたらそうとしている」と、Regan氏はプレスリリースの中で述べている。
この基準が導入されれば、EVが米国の自動車販売に占める割合は今後数年間で大幅に増え、2032年モデルが生産ラインから出荷されるころには市場の67%に達すると、EPAは予測している。
2022年1月の時点で、EVが新車販売に占める割合はわずか7%だった。
今回の提案は、自動車メーカーにEVの増産を命じるものではない。実際には、車の排気管から出る二酸化炭素の量を、2023年には前述のライトデューティー車両について業界全体で1マイル(約1.6km)あたり平均82gに抑えるよう求めるものだ。これは2026年に向けた既存の目標値を56%下回る数字だ。
これらの要件を満たすには、ゼロエミッション車の増産が最も分かりやすい方法だが、理論的には自動車メーカーが別の戦略を考え出すこともできる。
さらにEPAは、配達用トラック、スクールバス、トレーラートラックといった大型のヘビーデューティー車両(総重量が8500ポンド=3855.5kg以上の車両)に関しても、より厳格な排出基準を提案している。これらの提案を組み合わせることで、2055年までに約100億トンの二酸化炭素が削減されると、Regan氏は語った。
また、EPAの提案は燃費の向上と維持費の低減も求めており、それらが実現すれば、車両のオーナーは所有する車の耐用年数が過ぎるまでに平均で1万2000ドル(約160万円)を節約できると、EPAは述べている。
Regan氏はこの新しい基準の採用スケジュールに言及しなかった。長期にわたるパブリックコメント受付期間を経て、内容が大きく変わる可能性もある。
Joe Biden大統領が、米国のすべての新車販売の半分を2030年までにゼロエミッション車にするとの目標を掲げた大統領令に署名したのは、2021年のことだ。また、EPAによる12日の発表のかなり前から、多くの自動車メーカーがすでにEV化に向けて動き出している。
Stellantisは、2030年末までに米国で販売する車両の半数をEVにすると表明した。General Motorsは、2035年までにガソリン車を完全に廃止すると公約し、本田技研工業も北米で販売する自動車を2040年までに100%EVにする目標を掲げている。
Ford Motorは、2026年までに年間200万台のEVを製造することを目指し、500億ドル(約6兆6500億円)以上の投資を行っている最中だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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