サムスン電子はハイエンドスマートフォン「Galaxy S23 series」をNTTドコモ、KDDI、楽天モバイルから発売する。
Galaxy S23 Ultraはカメラ性能が向上し、暗闇での撮影にとても強い。実際に暗い場所で自撮りなどをしてみたが、髪の毛や肌の質感もしっかりと捉えることができるなど、他機種と比べても性能の違いがハッキリとわかるほどだ。
一方、マーケティング的な新たな取り組みとしては、今回から「Galaxy」という製品ブランドではなく「Samsung」という企業ブランドを推していくことになった。
これまでスマートフォンの背面には「Galaxy」と刻印がされていたが、今回から大文字で「SAMSUNG」となっている。記事を書く際も従来は「Galaxyは新製品を発表した」という書き方であったが、今回からは「Samsungは新製品を発表した」というようになった。
サムスン電子が頑なに「Samsung」をひた隠しにしてきた背景にあるのが「年配層を中心に韓国企業のイメージがあまり良くなかった」というのを配慮していたからとされている。
昔の韓国電機メーカーは「日本の電機メーカーの模倣品ばかりで、安かろう、悪かろう」という印象が強かったようだ。
そのため、世界ではSamsungブランドだったにも関わらず、唯一、日本だけSamsungを一切使わずGalaxyだけを訴求してきたのだった。
しかし、ここ数年、若者を中心にK-Popやドラマなど韓国文化が日本に定着。東京・原宿にあるGalaxyの旗艦店でもBTSコーナーを設けることで、若い女性がiPhoneを片手に殺到するなど、GalaxyやSamsungという企業にユーザーが高い関心を示すようになった。
もはや、かつてのネガティブなイメージは薄れていると判断し、長年、検討課題であった「Samsung」ブランドの復活に舵を切ることになったのだ。
では、なぜあえてGalaxyではなくSamsungに戻す決断をしたのか。
一部のメディアでは「Samsungは日本でスマホだけでなく、白物やテレビなど家電を売りたいのではないか」と見立てたところがあった。
自分もそうかと思い、サムスン関係者に本心を聞いたところ「いまさら、日本で家電を強化したところで売れっこない」と真っ向から否定されてしまった。
確かにテレビで言えば、ソニーやシャープなど日本を代表するメーカーがあるし、白物家電では、大企業だけでなく、バルミューダなどの個性派メーカーもしのぎを削っている。レッドオーシャンの日本の家電市場にサムスン電子が参入する隙間はない。
また、日本独自のGalaxyロゴからSamsungロゴにすることで「本体背面の部品を世界向けと共通化でき、部材コストを下げられるのではないか」という人もいる。
しかし、これも別のサムスン関係者によれば「そもそも日本向けのスマートフォンにはFeliCaマークをつけている。また、NTTドコモ向けはdocomoのロゴを入れる必要があるため、GalaxyからSamsungに変わったところで日本向けに独自に作らなくてはいけないため、部材コストは変わらない」という。
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