Amazonは3月30日、配送ビジネス起業を支援する新たな「デリバリーサービスパートナープログラム」(DSP)を開始したと発表した。同社が25年以上培った物流ノウハウや、商品を安全かつ確実に届けるためのサポートを創業者に提供する。
同プログラムには、物流分野や経営経験がほとんどない人も参加できる。「起業が成功し、20~40台の軽貨物輸送で運営した場合、年間1210万〜2470万円の利益が見込まれる」と、アマゾンジャパンでロジスティクス事業本部部長を務めるAwanish Narain Singh氏は語る。
具体的なサポートとしては、配送ビジネスの立ち上げや運営、雇用者の管理や支払いに関するノウハウを提供する。また、Amazonの提携業者から市場より安く給油できる。Amazonが提携する安いレートの自動車保険にも加入できるという。加えて、ビジネス運営に必要なツールも有償で利用できる。なお、あくまで独立した事業者であり、ドライバーの確保や経営管理、運営、人材確保などは、創業者が自ら行う必要がある。
先行して同プログラムに参加し、ワントラックを創業した同社代表取締役の目羅弘司氏は「事業開始のプロセスやガイダンス、Amazon独自のテクノロジーや物流分野の専門知識、必要に応じたサポートのおかげで、資本節約ができただけでなく、起業当初から高いレベルのサービスが提供できた」と語った。創業当初は1人だったが、スタッフを増やし、現在は十数台の軽運送車を運用しているという。
同じく、同プログラムでCruzを創業した同社代表取締役の井原雄士氏は「システムが優秀であると感じる。既存の運送では、ドライバーが自分で荷物の仕分けをし、車に運び入れる。倉庫に車をつけてから出発までに90〜120分かかっていた。それがAmazonのシステムでは15分で済む」と語った。また、起業によって「1人で朝から晩まで荷物を運ぶ場合に比べて、子供と触れ合う時間も確保できるようになった」とした。
なお、Amazonは既存のDSPで様々な規模の中小企業に配送を委託しているほか、個人事業主に配達を委託する「Amazon Flex」、地域の中小店舗などが副業で荷物を配達できる「Amazon Hub」の提供を開始している。
上記の取り組みがありながら、なぜ新たに配送ビジネスの起業を呼びかけるのかという疑問に対して、Awanish Narain Singh氏は「既存のパートナーも全て大切だ」と前置きしつつ、「日本におけるデリバリーステーションは2019年には1カ所だったが、今や45カ所に増えている」とコメント。継続した成長を見据えた場合、配送業者をさらに確保する必要があるとした。
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