新電力195社が「契約停止・撤退・倒産」に--燃料高騰受け、帝国データバンク調べ

 帝国データバンク(TDB)は3月29日、「新電力会社」事業撤退動向調査の結果を発表した。3月時点、新電力の契約停止、撤退、倒産は195社となる。

 TDBによると、急激な燃料高を受け、大手電力10社の2022年度第3四半期(2022年4〜12月)決算は、うち9社が最終赤字を計上した。ロシアのウクライナ侵攻や円安によるエネルギー価格の高騰を背景に、大手各社が家庭向け電力の値上げ方針を掲げ、電力小売業者(新電力会社)でも値上げの動き。TDBの2022年12月調査では、電気料金の総額が1年前と比較して増加した企業は、86.6%にのぼったという。

 その一方で、新電力会社の倒産や撤退で契約継続が困難となり、無契約状態となったため、大手電力会社等から供給を受ける「電力難民」企業は、2022年10月には4万5871件に急増。2023年3月は3万7873件まで減少したものの、高水準が続いている。

 これを受け、財務基盤が脆弱な新電力では、契約停止や撤退が相次いで発生。2021年4月までに登録のあった新電力会社706社のうち、27.6%にあたる195社が、2023年3月時点で倒産や廃業、または電力事業の契約停止や撤退などを行っていたことが分かった。

 なお、2022年3月末時点の契約停止、撤退等は、累計31社であった。同年6月には累計104社に急増し、同年11月28日時点で累計146社まで増加。2022年3月末から1年で、6.3倍に急増したことになる。

 契約停止、撤退等195社の内訳は、新規申し込み停止を含めた「契約停止」が112社、電力販売事業からの「撤退」が57社、「倒産・廃業」が26社。東北電力と東京瓦斯の共同出資によるシナジアパワーや、日本電灯電力販売なども倒産した。

 2023年1月より政府の電気料金緩和対策による料金値引きが行われ、新規受付を再開する業者もわずかに発生するものの、断続的な卸電力市場の価格高騰の影響は色濃く、財務基盤が脆弱な事業者のみならず、大手資本の出資があっても、撤退後に倒産に転じるケースも出てきたという。

 TDBは、電力調達価格が安定していけば、再登録企業が増加する可能性があるが、一方で撤退企業の増加は継続しており、財務基盤の強弱で二極化していくと分析。冬の需要期から夏期の需要期に向けて、今後の価格転嫁が需要家にどのように影響するかが注目されるとしている。

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