Sonos「Era 100」レビュー--スマートスピーカーの名品がさらに進化

Ty Pendlebury (CNET News) 翻訳校正: 編集部2023年04月03日 07時30分

 Sonosから新たに発売された「Era 100」(249ドル、日本では3万9800円)は、同社の人気スマートスピーカー「One」の強化版だ。音声アシスタントを2種類から選べる上、ついにBluetoothとステレオサウンドに対応した。Era 100はOneの後継機として十二分の魅力を備えている。

 Sonosの「問題」は、同社のエントリーレベルのスマートスピーカーはすでに市場の唯一の選択肢ではないことだ。競合するスマートスピーカー、例えばAppleの「HomePod」(299ドル、同4万4800円)やAmazonの「Echo Studio」(199ドル、同2万9980円)はDolby Atmosに対応しているだけでなく、AppleやEchoのエコシステムとも緊密に連携できる。

 とは言え、Era 100は優れたスピーカーであり、パフォーマンスは明らかにOneより向上している。Oneより少し値は張るが、30ドル(同8000円)の差も納得の出来映えであり、この価格帯では最高のスマートスピーカーと言えるだろう。

Era 100の概要

Era 100
提供:Ty Pendlebury/CNET

 SonosのEra 100は小さいが多機能のスマートスピーカーであり、前モデルのOneにはなかった重要な機能が2つある。ひとつは、同社の家庭向けスピーカー製品にとっては大きな転換となるBluetoothへの対応だ。Sonosは長年、BluetoothよりもWi-Fiの方が優れていると主張してきた。理由はいろいろあるが、今回Bluetoothに対応したことで、特に「AirPlay」やSonosがサポートしていないアプリと柔軟に連携できるようになった。

 2つ目の重要な新機能はステレオ再生だ(競合製品はモノラル再生が多い)。これは2つのツイーターを左右に向けて搭載することで実現された。このように新たな機能が追加されたにもかかわらず、サイズは高さ182.5mm、幅120mm、奥行き130.5mmで、Oneとほとんど変わらない。また、Oneはやや角張っていたが、Era 100は格子グリルで巻かれたコーヒー缶のような形状をしている。最大の変化はスピーカーの上部だ。Oneは、左右にスワイプして音量を調節するなど、静電容量式のタッチ操作を採用していたが、Era 100は本体上部に「溝」を設け、この部分を左右にスワイプすることで音量を分かりやすく段階的に調整できるようになった。

Era 100
提供:Ty Pendlebury/CNET

 前モデルのOneと同様に、Era 100でも音声アシスタントを選べるが、以前ほど選択肢は広くない。OneではGoogleアシスタントか「Amazon Alexa」を選択できたが、Era 100はGoogleアシスタントに対応していない。Sonosによれば、これはGoogle側の変更によるものだという。すでに持っている「Google Nest」デバイスにこのスピーカーを追加しようと考えていた人には残念な話だが、解決されることを期待しよう。なお、Era 100は音響製品に特化した独自の音声操作システム「Sonos Voice」を使って操作することも可能だ。

 前モデルでは、「iOS」搭載デバイスを持っていれば「Trueplay」を使ってスピーカーのイコライザー設定を部屋に合わせて最適化できた。この点では、Androidユーザーは冷遇されていたと言ってもいい。しかし競合製品にヒントを得てか、Era 100では内蔵マイクを使った自動調整が可能になった。数秒で済むが、もっと丁寧に調整したい人は引き続きiOSを利用してイコライザー設定を微調整することもできる。

 充実したコネクティビティはSonos製品の売りだ。家中のどの部屋にいても、音楽を思いのままに再生できる。Era 100はBluetoothに対応し、Oneのイーサネットポートに代わってUSB Type-C(USB-C)ポートを搭載することで、さらにパワーアップした。一般的なUSB-Cイーサネットアダプターをつなげば有線接続も可能だが、真価は別売の「Sonos Line-in Adapter」にある。この19ドル(同2980円)の純正アダプターを使えば、Era 100を外部のオーディオ機器と接続できる。以前なら「Sonos Port」(449ドル、同6万9800円)や「Sonos Five」(549ドル、同7万9800円)といった高価な製品でしかできなかった機能だが、Era 100では、この純正ライン入力アダプターを使うことで、ターンテーブルやFMチューナーなどの外部プレーヤーと接続して音源を共有し、Era 100で再生できるようになった。イーサネットも必要な場合は、3.5mm入力と有線接続の両方に対応した「Sonos Combo Adapter」(39ドル、同6480円)も用意されている。

 Sonosは、数あるマルチルームのサウンドシステムの中でも群を抜いた規模と知名度を誇るエコシステムを持つ。オールインワンの柔軟なコントロールアプリを使って音楽サービスやスピーカーを操作できるが、Appleの「AirPlay 2」のようなストリーミング規格を使用することも可能だ。Googleアシスタントは利用できず、Chromecast機能も内蔵していないため、「Android」ユーザーにとってはストリーミングの選択肢が限られるかもしれない。

音質はさらに向上

提供:Ty Pendlebury/CNET
Amazon Echo Studio(左)、Sonos Era 100(中央)、Apple HomePod
提供:Ty Pendlebury/CNET

 ストリーミングスピーカー業界の定番と言えば、SonosのOneだろう。Oneは一般家庭からオフィス、レストラン、店舗まで、どのような環境にもなじむパンチの効いた、しかしほんのりベールで包まれたようなサウンドを提供する。Sonosでサウンドエクスペリエンスの責任者を務めるGiles Martin氏は以前、米CNETの取材に対し、「イライラしない」ことがOneの音の特徴だと語った。

 今回のテストでは、SonosのEra 100とOneを聞き比べてみた。音質の向上は次第にはっきりと感じられるようになった。一番強く感じた違いは、Oneの音はEra 100より角張っていることだ。Era 100は2つのツイーターのおかげで、より開放的で魅力的なステレオサウンドを再生できる。ちなみにSonosのスピーカー設定ではデフォルトで「ラウドネス」が有効になっているが、今回のテストはこれを無効にした上で実施した。その結果、どの曲も低音が滑らかになったので、ラウドネス設定は常に無効にした方が良いかもしれない。

 テストで最初に試した曲は、Alex Gのアルバム「God Save the Animals」に収録されている「Runner」だ。Era 100は、この90年代を思わせる曲をOneよりもダイナミックに表現した。例えば、曲の冒頭で流れる低音のピアノは、Oneでは足りなかったパンチを伝えくれた。音もEra 100の方がわずかに大きく、デシベルメーターでは約3dbの差を確認できた。大きな差ではないが、低音域の厚みを考えれば妥当なブーストと言える。

Sonos Era 100とSonos One
Sonos Era 100(左)とSonos One
提供:Ty Pendlebury/CNET

 The Beta Bandの「Life」という曲でも、Era 100は開放的なサウンドを効かせてくれたが、Eraの唯一のアキレス腱と言うべきものも露呈した。Era 100は豊かな低音が魅力だが、そのために音の処理を工夫している。例えば「Life」では、曲の最後の方で深いベースラインが始まった途端、Era 100の音量が落ちたのがはっきり聞き取れた。Oneでは全体にベースの音は柔らかく調整されているが、Era 100のように曲の最後で音が崩れることはなかった。

 Dead Can Danceの曲「Yulunga(Spirit Dance)」では、2つのステレオツイーターの搭載がもたらした進化を明確に感じられた。2分を過ぎたあたりで、音が左右に分離したことがはっきりと聞き取れる。この変化は、Era 100から30cmほどの場所に座っていたときに最も顕著に感じられたが、1.8mほど離れた場所からでも分離していることが分かった。3分辺りでベースをたたく音が聞こえてくるが、この音もEra 100の方が響いた。

 OneをAppleのHomePodに変えて聞き比べると、Era 100はHomePodよりも音が大きいことにすぐに気付いた。同じDead Can Danceの曲を聴いたところ、HomePodではどの距離でもステレオ効果は感じられなかった。前述したベースを叩く音は、HomePodの方がしっかりと聞こえた。これはサイズや価格差を考えれば当然かもしれない。

 次に比較したのはAmazonのEcho Studioだ。Echo Studioでは、同じDead Can Danceの曲がより大きな音で再生された。音質は、Era 100やHomePodほどは洗練されていない。特に、「ステレオ空間エンハンスメント」設定を有効にすると歌声がややきつく聞こえるため、設定を無効にして高音と中音の強調を控えめにする必要があった。しかし、ステレオシステムの代用品を探しているなら、3つのスピーカーのうち、最も適しているのはEcho Studioだ。

 スマートスピーカーはオーディオブックやポッドキャストにも使えるのだろうか。Era 100でAndrew Hickey氏のポッドキャスト「A History of Rock Music in 500 Songs」を再生してみたところ、同氏の低音ボイスのナレーションをうまく再生できていた。声は明瞭で、かすれやふるえなどの問題は生じなかった。

 新しいBluetooth機能もテストしてみた。Phoenixの「Alpha Zulu」は、クリアでパンチの効いたサウンドで再生され、音質的な不満はほとんど感じなかった。これほど小さなスピーカーでも、Bluetoothと音楽配信サービス「Tidal」のロスレスオーディオの違いは簡単に聞き取れた。これはEra 100の性能をよく物語っている。Wi-Fiでは、低音にパンチがあり、音の抜けも格段に良かった。

Era 100は「買い」か

 2017年にSonosがOneを発売したときは、短命に終わった一握りのスマートスピーカーを除いて、競合する製品は他になかった。実際、Oneほどバランスがよく、長く愛されてきたスマートスピーカーはない(厳密には、AppleのHomePodの発表はOneより早かったが、発売はOneより遅かった)。しかし現在は、市場に多くの競合製品が存在する。

 すでにOneを持っているなら、買い替えは必須ではない。しかし、古いテレビと同じように今使っているOneは寝室用に格下げし、新製品が欲しいと考える人もいるだろう。音質の良い小型のスマートスピーカーが欲しいなら、SonosのEra 100は有望な選択肢であり、自信を持って推薦できる。来客時やリラックスしたいときにBGMを流してくれるスピーカーを探しているなら、Era 100と前モデルのOneは同じくらい有能だ。つまり、どう使ってもEra 100は優れたスマートスピーカーだと言える。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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