ロボットの社会実装に向け官民連携--人と環境がロボットに歩み寄る世界へ

 一般社団法人 ロボットフレンドリー施設推進機構(RFA)は3月8日、ロボットの社会実装に向けた官民連携の取り組みを「ロボフレ施設管理成果報告会」として発表した。最新のロボット活用とロボットフレンドリーな環境構築の現状などをレポートした。

左から、東急不動産 ビル運営事業部東京ポートシティ竹芝総支配人の潮田喜一郎氏、声優・歌手の東山奈央さん、森トラスト 社長室戦略本 デジタルデザイン室部長代理の朝比奈泰裕氏、ロボットフレンドリー施設推進機構代表理事の脇谷勉氏、三菱地所 管理・技術統括部兼DX推進部統括の渋谷一太郎氏、経済産業省 製造産業局産業機械課長兼ロボット政策室長の安田篤氏、パナソニック ホールディングス 事業開発室ロボティクス・アクセシビリティPJ総括担当の黒川崇裕氏、経済産業省 製造産業局産業機械課ロボット政策室室長補佐の板橋洋平氏
左から、東急不動産 ビル運営事業部東京ポートシティ竹芝総支配人の潮田喜一郎氏、声優・歌手の東山奈央さん、森トラスト 社長室戦略本 デジタルデザイン室部長代理の朝比奈泰裕氏、ロボットフレンドリー施設推進機構代表理事の脇谷勉氏、三菱地所 管理・技術統括部兼DX推進部統括の渋谷一太郎氏、経済産業省 製造産業局産業機械課長兼ロボット政策室長の安田篤氏、パナソニック ホールディングス 事業開発室ロボティクス・アクセシビリティPJ総括担当の黒川崇裕氏、経済産業省 製造産業局産業機械課ロボット政策室室長補佐の板橋洋平氏
左から、「Cuboid」(配送ロボット)、「Servi Lift」(配膳ロボット)、「MRS02」(リネン配送ロボット)
左から、「Cuboid」(配送ロボット)、「Servi Lift」(配膳ロボット)、「MRS02」(リネン配送ロボット)
左から、「YUNJI GOGO」(配送ロボット)、「ハコボ」(自動配送ロボット)、ロボット掃除機実証モデル
左から、「YUNJI GOGO」(配送ロボット)、「ハコボ」(自動配送ロボット)、ロボット掃除機実証モデル

 RFAは、2022年に業界の横断的な社会法人として設立。2019年に経済産業省とNEDOがロボット活用に向け発足したタスクフォースがベースになっている。ロボットフレンドリー施設推進機構 代表理事の脇谷勉氏の「ロボットが社会に普及するためには人を含め、社会側がアプローチする必要がある。人がロボットをフレンドリーに設置できる場所を整え、ロボットを普及させることがコンセプト」と設立背景を話した。

 経済産業省 製造産業局産業機械課長兼ロボット政策室長の安田篤氏は「人手不足解消や作業の自動化、DX化などの流れを受け、ロボットに対するニーズや期待は大きくなっているが、製造現場などで多くの稼働がある一方、日常空間やサービス分野ではなかなか普及、稼働していない状況だった。ロボットが普及、導入しやすい、ロボットフレンドリーな環境作りをユーザーやメーカーにも協力いただきながら作り上げていきたい」とロボットフレンドリーのコンセプトを説明した。

 「ロボットとエレベータ・セキュリティとの連携標準化」「施設の物理環境(床・壁など)の標準化」「異種複数ロボットの群管理制御の標準化」という3つの領域において、研究や導入の先端事例や普及するための規格化、ガイドラインの策定も実施。成果報告会では、三菱地所、東急不動産、森トラスト、パナソニック ホールディングスが登壇し、RFAとの取り組みについて話した。

 三菱地所では、オフィスビル内における次世代配送サービスをロボットと設備を連携することで実現。ロボット単体での無人配送を取り入れている。「複数をまたぐエレベーター、ゲート扉を連携することで実現する。ロボットが無人のエレベーターに乗り、フラッパーゲートを通過し、扉も自動連携しながら通っていく。これが複数のフロアで、同時にロボットが移動し、遂行する」(三菱地所 管理・技術統括部兼DX推進部統括の渋谷一太郎氏)と複数のシステムと連携することでロボット配送が実現できたとした。

 東急不動産では、東京都港区にある東京ポートシティ竹芝で、ロボットと人が共存できる環境構築に取り組む。「館内は人とロボットが影響し合うため、どう共存させるかが大きな課題と認識しており、施設内で実証実験が必要だと考えた。曲がり角で人とロボが接触してしまう課題については、仮説を立て、対策案を考え、会議室内で予備実験をし、対策をカーブミラー、ステッカー、警笛、一時停止、大回りなどに絞り込んだ後、本実験を実施。大回りの対策効果が高いと結論が出た。」(東急不動産 ビル運営事業部東京ポートシティ竹芝総支配人の潮田喜一郎氏)と徹底した実験から対策を導き出したという。

 同じく、人やロボットが共存し、稼働する環境を模索する森トラストでは、斜面や段差、溝、通路幅など、ロボットに適した環境を示した「ロボフレレベルA~C」を紹介。「斜面が4.8度以上あり、段差が5mm以上ある場所ではロボフレレベルがCとなり、ロボットの導入は難しい。この環境ではロボットをカスタマイズしてお金と時間をかけて導入することになる。しかし環境をロボフレレベルAやBなどに整えられればどんなロボットでも導入しやすくなる」(森トラスト 社長室戦略本部 デジタルデザイン室部長代理の朝比奈泰裕氏)と環境の重要性を説いた。

 パナソニックホールディングスでは「複数ロボットの群管理制御の標準化」をテーマにNECネッツエスアイとともに取り組んだ事例を紹介した。「施設内で多くのロボットがメーカーを問わず、効率的に運用するには群管理制御が必要。現状は各メーカーが現場ごとに調整し、特定の施設、特定のユーザー向けロボットシステムになっている。今後はロボットシステムの中で複数のロボットを運用させる場合の規格化、ルール化により他施設への展開が加速できるようにすることが大事」(パナソニック ホールディングス 事業開発室ロボティクス・アクセシビリティPJ総括担当の黒川崇裕氏)とロボットが当たり前に導入される世界のあるべき姿を示した。

 会場では、RFAによるコンセプトムービー「人とロボットが共存する世界」も公開。ゲストとして、コンセプトムービーに声で出演している声優で歌手の東山奈央さんも登場した。

会場にはゲストとしてコンセプトムービーの声を担当した声優で歌手の東山奈央さんが登場した
会場にはゲストとしてコンセプトムービーの声を担当した声優で歌手の東山奈央さんが登場した

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