医療DXに挑む--ヘンリー、中小病院向けにクラウド型電子カルテ・レセコンシステム

 ヘンリーは2月22日、中小病院向けにクラウド型電子カルテ・レセコンシステム「Henry」の提供を開始すると発表した。

 現在、複数の病院で導入を進めており、特に電子化が進んでいない中小病院を主なターゲットとして、2025年までに全国約7500ある中小病院のうち10%の導入を目指す。

 同社によると、医療業界はデジタル化が進んでおらず、電子カルテの利用率は全体で約50%、200床未満の中小病院では約49%だという。また、病院の電子カルテはオンプレミスがメインで、クラウドが普及しているクリニックでも、10%程度という。そもそも、デジタル化が進まない要因のひとつとして、日本の医療の国民皆保険制度と診療報酬制度の複雑性が挙げられる。日本は国民皆保険制度下、ほとんどの医療サービスを公的医療保険を利用して提供している。

 
 

 そのため、医療機関のシステムの中心である電子カルテやレセプトコンピューター(会計システム:レセコン)は、保険制度や診療報酬制度のルールに則ったシステムである必要がある。また、複雑性が高い上に2年に1度の診療報酬改定に合わせた定期的な更新が必要となるため、現在も20年以上前に作られたシステムが主流だ。

 
 

 そこで同社は、法令規制と業務の複雑性・専門性が高いことを要因として、難易度が高い医療業界の業務改善に着目。2019年より、レセコン・電子カルテの開発に着手した。2021年3月より、クリニック向けの電子カルテを販売している。

 2022年6月には、中小病院向けクラウド型電子カルテ・レセコンシステムの開発および、営業・サポート体制の強化を目的として、グロービス・キャピタル・パートナーズ、フェムトパートナーズを引受先とする第三者割当増資を実施。シリーズBラウンドで7.3億円を資金調達している。

 今回、調達した資金を元に開発し、入院機能などを備えた中小病院向けクラウド型電子カルテ・レセコンシステムの提供を開始した。先行して大阪府の正幸会病院が導入しており、「たとえるならガラケーからスマホに変えたような感じ。Evernoteのような使い心地で、どんな人も直感的に操作ができる」とコメントしている。

 電子カルテ導入のメリットは、(1)効率化の向上、(2)情報アクセス性の向上、(3)安全性の向上――の3つを挙げる。また、同社では、「入院向け電子カルテ」「外来向け電子カルテ」「入院向けレセコン」「外来向けレセコン」の4つをワンパッケージにすることで、市販価格の5分の1程度の価格と作業完結までのスピードを実現できると自信を見せる。本質的な医療現場の業務改善を目指し、サービス改善・開発および、医療機関への導入・運用支援を行っていくとしている。

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