防災科学技術研究所理事長の林春男氏は、IoT家電を防災に活用することに関して、2022年3月の福島沖を震源とする地震時の停電を例に説明した。
「シャープのIoT対応家電を使い、県下でどのように停電したのかモニターできた。技術的には一軒一軒見られるが、プライバシーの問題があるため郵便番号単位で集計をし、どれくらいのお宅で停電したかを地図上に表示した」(林氏)。
今までの停電情報は、すべて電力会社からの情報で、停電が起きている場所が詳しくわからないというのが実態だが、家電からの情報を活用することでより詳しく停電が起きている場所がわかり、必要な支援を届けられるという。
防災行政無線、防災ラジオ、スマホでの緊急速報メールといったさまざまな緊急情報提供メディアがあるが、IoT家電はそれらを補完するような位置づけ。
つくば市 市長の五十嵐立青氏は「日常的に使っている家電からいざという時に情報が届けば、それは非常に価値があるものだと思っている。防災情報が届かないといったお叱りをたくさん受けますし、防災ラジオを全世帯に届けるのは大変。いざという時にチューニングをきちんとしていただけるかもわからない。日常的に使っている家電から発するメッセージに(防災に)必要なものを届けられるとしたら、行政としても非常に意義があることだと思う」とコメント。
さらに続けて、防災情報は命に関わる極めて重要な情報にもかかわらず行政としては、さまざまな手段を使ってもなかなか伝え切れていないという課題を感じているとする。
「防災情報を適切な形で、必要な人に適切なタイミングで届けられれば、市民の安全も、安心感もかなり改善されていくのではないか。今後、事前登録によってよりパーソナライズされた情報にしていければ、要支援者の方にどのような情報を提供するか、警戒区域とそうじゃない方それぞれどのようなメッセージを発信するかなど、そういうことが可能になっていくだろうと期待している」(五十嵐市長)。
今回の実証実験はあくまでファーストステップ。今後はシャープ以外の家電とも連携できるような仕組みを使い、防災・災害に役立てるよう目指す。
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