三井不動産は2月13日、宇宙関連産業を活性化させるオープンプラットフォームとして、一般社団法人クロスユーを設立したと発表した。新設の宇宙共創施設「X-NIHONBASHI BASE」(東京・日本橋)を拠点に、4月1日から本格始動する。
クロスユーでは、既存の宇宙企業だけでなく、非宇宙企業の宇宙ビジネスへの参入も後押しする。4月1日にオープンする新拠点のX-NIHONBASHI BASEでは、シェアオフィス、コワーキングスペース、会議室、バーラウンジ、オンライン配信対応のスタジオなどを用意。会員企業は会員種別に応じてこれらを利用できる。
さらに、宇宙ビジネスに関連するイベントやプログラムを開催し、コミュニティー形成やビジネスマッチングの機会も提供する。三井不動産は2019年から、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とのパートナーシップのもと、宇宙ビジネス活性化促進プロジェクト「X-NIHONBASHI」に取り組んでいる。これらがクロスユーに引き継がれることになる。
前述のJAXAをはじめとする産官学一体となったサポート体制も売りにする。クロスユーの理事長には、キューブサットの先駆者として知られる東京大学 大学院 工学系研究科 教授の中須賀真一氏、理事には元内閣府 宇宙開発戦略推進事務局長 経済産業省 製造産業局庁の高田修三氏が就任。さらに、諮問委員会とサポーターには、JAXA理事の石井康夫氏をはじめ26人の識者が参画している。
クロスユーの入会金と年会費は、従業員301人以上の企業の「特別会員A」の場合はそれぞれ5万円と25万円。従業員300人以下、または非営利団体等の「特別会員B」の場合はそれぞれ2万円と6万円。個人を対象とする「特別会員C」の場合は入会金が2000円と5000円となる。
三井不動産は宇宙産業への後押しを通じて、同社が再開発を進める東京日本橋地区に活性化につなげる。日本橋地区は1999年に東急百貨店日本橋店が閉店するなど「一時は寂しい街になっていた」(植田氏)という。そこで三井不動産は2004年3月、東急百貨店跡地での「COREDO日本橋」の開業を皮切りに、「日本橋再生計画」と銘打つ大規模再開発に乗り出した。
日本橋再生計画において三井不動産は、将来有望な産業の発展を支援し、あわせて社会課題の解決に貢献する「産業創造」を重点テーマとして掲げている。日本橋地区は歴史的な経緯から製薬会社が多く立地するため、まずライフサイエンス分野の産業創造に注力。産官学一体となったオープンプラットフォームである「LINK-J」を2016年に設立している。
そして、2019年からの「日本橋再生計画第3ステージ」では、新たな産業創造のテーマとして「宇宙」に着目。宇宙ビジネス活性化促進プロジェクト「X-NIHONBASHI」を始動させた。クロスユーはその最新の取り組みとなる。
会見には三井不動産で代表取締役社長を務める菰田正信氏も登壇。リモートワークの重要性を認めつつも「新しい人間関係を構築したり、互いの発想をぶつけ合いながらイノベーションにつなげるには、リアルな場に集まるのが不可欠」と述べ、クロスユーの設立の意義を強調した。
また、三井不動産の取締役専務執行役員で、クロスユーの専務理事を務める植田俊氏は「江戸時代より五街道の起点だった日本橋から、6本目の街道を宇宙に繋げる」「イノベーションを不動産のプラットフォーマーとして支えていきたい」と意気込んだ。
さらに、クロスユーの理事を務める中須賀真一氏は「日本の宇宙産業発展のためには非宇宙企業との連携強化が重要」とコメントした。
記者会見にはJAXAで理事長を務める山川宏氏も登壇。日本橋を拠点としたオープンイノベーションの取り組みであるクロスユーに期待を寄せた。
(この記事はUchuBizからの転載です)
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