米不動産テック企業Movotoの前CFOが日本で挑む仲介業務の課題解決

 不動産仲介会社と顧客のコミュニケーションクラウド「Facilo」を運営するFaciloは2月8日、シードラウンドとしてCoral Capitalと DNX Venturesから2億円を調達したと発表した。

Faciloのメンバー。前列中央がCEOの市川紘氏、前列左がCOOの浅岡純子氏
Faciloのメンバー。前列中央がCEOの市川紘氏、前列左がCOOの浅岡純子氏

 Faciloは、2021年10月に設立した不動産テックのスタートアップ。米国の不動産テック企業MovotoでCFOを務めた市川紘氏が立ち上げた。「コミュニケーションクラウドFaciloは、物件の販売図面から、室内写真、パンフレットなどの関連情報、内見などのスケジュール情報をクラウド上に一元管理でき、お客様はそこにアクセスすることで物件に関する情報をいつでも見られるというもの。不動産に特化したオンラインストレージサービス」と市川氏は説明する。

 市川氏は、Movotoが大手AI企業へのM&Aによるイグジットから合併後の新会社の統合業務を経て帰国。不動産業界における新しいビジネスを模索する中でFaciloを生み出した。「ゼロベースから事業を考えていた時、仲介会社とお客様のメールやチャットのやりとりを2万件程度分析したところ、毎日のように繰り返し書かれているワードがあった。それが『五月雨式になってしまい申し訳ありません』というもの。仲介会社の担当者が悪いわけではないのに謝らないといけないのは違うなと思った」(市川氏)とこの言い回しに着目した。

 仲介会社と入居希望者の間には、物件提案、内見日程調整、書類手配とさまざまなやりとりが発生するが、そのメインツールとなっているのがスマートフォン。「デバイスはスマートフォンになっているのに、メールへのファイル添付やパスワード設定などPC向けの作業が残っているため、一度では情報を伝えきれず、やりとりが複数に渡ってしまっていた。また、物件に対する情報が一度ではそろわず、新しい情報が出てくるたびに購入検討者に送るため、情報が散らばってしまいお互いに管理が大変になってしまう」(市川氏)と現状を説明する。

 Faciloは、クラウド上にすべての物件情報を集め、あらゆる情報にアクセスしやすくしたサービス。仲介会社の業務効率化を狙うとともに、購入検討者にとっても情報を瞬時に取得でき、ほしい情報にたどり着きやすいなど、ユーザー側の顧客体験向上にもつなげる。

 すでに、先行して野村不動産ソリューションズ、三菱地所ハウスネット、ケラー・ウィリアムズ・ジャパンといった不動産会社に導入済み。「先行導入いただいている会社の方には、一緒にFaciloを育てていただいている。常にフィードバックをもらい、新機能の追加などにも意見をいただける関係。この関係構築がFaciloのバックボーンになっている」(市川氏)と独自のエコシステムを構築している。

Facilo導入前後のイメージ
Facilo導入前後のイメージ

 「不動産会社向けのシステム普及でハードルになるのは、導入しても現場の方に使ってもらえないこと。実際に使ってもらえるシステムになるよう重視したのは現場の声を開発にいかすこと。とにかく足を運びフィードバックをもらい、それを社内のエンジニアに伝え、システムに反映する。これを繰り返すことで、日常的に使ってもらえるシステムになってきた。改修のスピードにも力を入れており、現場から帰るエレベーターの中でエンジニアに改修部分を伝えて、電車に乗るころには開発が完了していることもあるほど」(市川氏)と現場の声を吸い上げて素早く形にすることを徹底している。

 こうした積み上げにより、「導入前後を比較すると物件提案の業務負荷が50%削減できた」「Faciloを活用した顧客体験向上により成約につながった」などの声も上がってきているとのこと。「仕事の効率化につながることで、仲介会社で働く人の働き方改革にも結びつくはず。不動産の営業担当者は休みが少ない、残業が多いなど、ハードなイメージが強いが、Faciloの導入により、お客様を深く理解して、価値観やライフスタイルに寄り添った提案を行うという本来やるべき仕事に時間が割けるようになる。結婚や出産でライフステージが変化した場合でも働き続けやすい職場づくりをサポートしていきたい」(Facilo COOの浅岡純子氏)と期待を寄せる。

 市川氏は「日米の不動産仲介会社で一番違うのは、米国では5人くらいのチームでやっている仕事を日本は1人で孤軍奮闘しているということ。物件探しから内見、契約、住宅ローンまで含めて並行して動くのは本当に大変。そういった業務を軽くしながら同時に顧客体験を向上させていく支援を続けていきたい」と今後を描く。

 資金調達で得た資金は、営業体制を先行導入から一歩進め、オープンな形で導入先を広げていくためのセールス・カスタマーサクセスと、プロダクトの開発スピードを上げるエンジニアの獲得などにあてる計画。「現場で使っていただいて得たフィードバックを元に機能追加や改善などのサイクルをより早く回していきたい」(市川氏)とコメントした。

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