「これから宇宙ビジネスに参入したい」「業界の用語を知りたい」──。本特集は、そんな宇宙ビジネスの入門者に向けて、今ホットな宇宙ビジネス用語を各社のキーパーソンに聞く企画だ。
第1回となる今回、キーワードを挙げていただいたのは、衛星光通信を手掛けるワープスペースでCSOと米国CEOを務める森裕和氏だ。同氏が挙げたのは「安全保障」「宇宙ゴミ」「光通信」の3つだ。それぞれの理由を聞いた。
「まず『安全保障』については、ロシアのウクライナの侵攻によって、観測衛星や通信衛星コンステレーションの潜在能力が注目を集めています。また、米国が最大の競合国とみなしている中国に対抗するため、衛星を様々な場面で活用する風潮も高まっています。北太平洋条約機構(NATO)や日本などといった米国の友好国もそれに追従し、近年注目を浴びる宇宙産業に、冷戦以来の特需を生み出そうとしています」
「次は『宇宙ゴミ』(スペースデブリ)です。数年前から米国を始めとする各国が規制に乗り出しています。世界経済フォーラム(WEF)のような非宇宙の国際会議でも議題に上がるようになっています。また、米国のFCCを中心に、デブリの発生を抑止する法的拘束力のある規定も策定されており、デブリ除去に国がお金を出す動きも出始めています」
「最後は、弊社でも手掛けている『光通信』です。民間宇宙ステーションと迷いましたが、僅差でまだ光通信のほうが市場規模的にも伸びそうです。2022年前半からは米国だけでなく、日本でも三菱電機やNEC、NTT、スカパー、ソニーと大手がこぞって参入し、観測衛星と通信衛星という、宇宙産業における二大データビジネスの双方に革命をもたらす潜在技術として投資がされています」
「近年話題に上がる安全保障の観点でも、光通信は既存の電波通信よりもより傍受されにくく、量子暗号との相性が良いという特徴があります。単に通信速度が著しく高まるだけでなく、サイバーセキュリティといった、非宇宙系の広い産業の課題にも貢献しうると考えています」
(この記事はUchuBizからの転載です)
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