SpaceXは、同社のブロードバンド衛星「Starlink」が地上の天体観測施設に及ぼす影響を軽減することに合意した。
米国立科学財団(NSF)は米国時間1月10日、地上の天体観測を保護するためにSpaceXと締結した新たな協定の概要を明らかにした。具体的には、Starlink衛星の明るさや、無線周波数帯の競合利用に言及しているほか、Starlinkの軌道情報を公開することで、衛星が周回する周辺で天文学者らが観測の予定を立てられるようにするなどとしている。
SpaceXがStarlink衛星を地球低軌道(LEO)に投入する取り組みを開始して以降、天文学者らは、増え続ける人工衛星が地上の望遠鏡を使った天体観測に干渉する可能性を憂慮してきた。
天文学者らが今後対処する必要が生じると考えているのは、SpaceXが現在展開している第1世代(Gen1)のStarlink衛星3500基超からなるコンステレーション(衛星群)ではなく、同社が2030年までに展開を計画している合計4万基のLEO衛星で構成される商用コンステレーションだ。米連邦通信委員会(FCC)は2022年12月、SpaceXに第2世代(Gen2)のStarlink衛星7500基の打ち上げを許可したが、これはSpaceXが目指すコンステレーションを構成するGen2 Starlink衛星2万9988基よりはるかに少ない。
NSFによると、SpaceXはGen2衛星の影響軽減策として、(光線透過率を調整できる)誘電体ミラーフィルム、ソーラーアレイの削減、明るさと輝きを最小限に抑える黒い塗料、航行のベストプラクティスなどを盛り込んでいるという。
天文学者らはまた、天体観測用のレーザーで観察している領域をStarlink衛星が通過しても、今後は邪魔されなくなるはずだ。米宇宙コマンドに属する組織Laser Clearinghouse(LCH)は、軌道上の資産がレーザーによる損害を受けないよう監督している。これまで、天文学者がレーザーを使用するにはLCHと調整する必要があったが、天体観測用のレーザーがStarlinkに及ぼす影響についてSpaceXが調査を終えれば、調整は不要になる見通しだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス