Metaは、社名がまだFacebookだった2018年に、それ以前にもそれ以降にも見たことのないようなスキャンダルに見舞われた。Donald Trump前米大統領の大統領選陣営と関わりのあった英国の政治コンサルティング企業Cambridge Analyticaを含む多数の第三者組織に、ユーザーデータへのアクセスを許可していたことが、明らかになったのだ。
このスキャンダルが明るみに出てから4年以上が経過した米国時間12月22日、Metaは、この個人情報流出をめぐって同社を相手に集団訴訟を起こしたユーザーに対し、7億2500万ドル(約960億円)の和解金を支払うことに合意した。この和解金は、Metaが2020年に米連邦取引委員会(FTC)に支払うことに合意した制裁金の50億ドル(約6600億円)とは別である。
長期にわたる同訴訟の発端となった事件は、このインターネット時代に最も注目を浴びたデータプライバシースキャンダルの1つだった。この事件は、世界中のインターネットユーザーが、自分のオンラインプライバシーの脆弱性と、サードパーティー企業だけを頼りに悪意ある活動を行う者から自分の身を守ることのリスクに気づくきっかけとなった。また、より厳しい規制や政府による監視が導入され始めて、事業慣行における説明責任と透明性がより厳しくIT企業に求められるようになったのも、この事件がきっかけだった。
原告側の弁護士らは裁判所提出文書の中で、データプライバシーをめぐる集団訴訟として米国史上最大規模であり、Metaが集団訴訟で支払う和解金としては最高額だと述べた。「Facebookは、問題の慣行にユーザーは同意していて、原告に実害はなかったと主張していたことを考えれば、この補償金額は特に高額である」と、Reutersが公開した弁護士らの文書には記されている。
原告側の弁護士らは、スキャンダルが発覚してからこれまでに、Metaは、同社の複数のポリシーを変更して、再発防止を図ったことに言及している。最も顕著な変更は、友達を通じてユーザーのデータをサードパーティーが収集する能力を制限したことだ。
この集団訴訟を起こした弁護士らは、影響を受けた米国のすべてのFacebookユーザーを代表しており、その数は2億5000万~2億8000万人と推定されている。影響を受けたこれらのユーザーが、どうすれば和解金の分配を請求できるかはまだ明らかになっていない。最終金額の確定にはまず、米カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所の承認が必要で、3月にさらなる審理が予定されている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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