小惑星をナノファイバー製の網で包み、スペースコロニーに--米研究者が構想

Amanda Kooser (Special to CNET News) 翻訳校正: 佐藤卓 長谷睦 (ガリレオ)2022年12月15日 12時20分

 ニューヨーク州にあるロチェスター大学の科学者らが、小惑星を回転させて人工的に重力を生み出し、宇宙都市にする構想を打ち出した。この「大胆な理論上」の研究論文は、1月に学術誌「Frontiers in Astronomy and Space Sciences」で公開されている。

小惑星内の都市
小惑星の内側にある都市を示したイラスト
提供:University of Rochester illustration/Michael Osadciw

 「われわれの論文は、科学とSFの境界線上にある」と、論文の共著者であるAdam Frank氏は、ロチェスター大学が米国時間12月8日に発表した声明で述べている同氏は同大学で物理学および天文学の教授を務めている。

 この小惑星都市は、「オニール・シリンダー」(物理学者のGerard O'Neill氏が1970年代に提案した、回転するスペースコロニー)と呼ばれるアイデアを基本概念にしており、小惑星を回転させることで人工的に重力を生み出すという。映画「インターステラー」に出てくるシリンダー型のスペースコロニー、クーパーステーションをイメージするといいだろう。これは実に興味深いアイデアだが、巨大スケールのオニール・シリンダーを建設するのに必要な資材を宇宙に輸送するのは困難で、費用もかかるはずだ。

 そこで、ロチェスター大学の研究チームはさらに大胆な方法を提案している。薄くて強度の高い、巨大なカーボンナノファイバー製の網で小惑星のがれきを囲み、円筒状の居住空間に変えるというのだ。この網は、アコーデオンのような構造になるという。

小惑星ベンヌ
がれきやデブリでできている小惑星の好例がベンヌだ
提供:NASA/Goddard/University of Arizona

 荒唐無稽な話のように思われるかもしれないが、Frank氏によれば、この小惑星都市を建設するための技術や工学は、物理の法則に従っているという。「われわれの計算に基づけば、直径300m(アメリカンフットボールのフィールドを数個並べたほどの長さ)の小惑星をこのやり方で拡張することで、約22平方マイル(約57平方km)の居住環境を生み出せる。これはマンハッタンとほぼ同じ面積だ」(Frank氏)

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]