ノーベル化学賞、分子を簡単に結合する「クリックケミストリー」に貢献した3氏に

Kourtnee Jackson (CNET News) 翻訳校正: 佐藤卓 長谷睦 (ガリレオ)2022年10月06日 12時23分

 スウェーデン王立科学アカデミーは現地時間10月5日、2022年のノーベル化学賞を、不要な派生物を作ることなく分子反応をすばやく起こせる「クリックケミストリー」と呼ばれる手法の開発に貢献した3人の化学者に授与すると発表した。

3人の化学者のイラスト
提供:(c) Johan Jarnestad/The Royal Swedish Academy of Sciences

 米国のBarry Sharpless氏とCarolyn Bertozzi氏、それにデンマークのMorten Meldal氏の受賞理由は、分子構築ツールを開発し、進化させたことだ。このツールはDNAのマッピングや、がん治療薬をはじめとするさまざまな業界向けの材料の製造に使われている。

 「機能性分子が寄り道なしに作成できるようになった」と、ノーベル化学賞委員会のJohan Aqvist委員長は述べている。Sharpless氏とMeldal氏は、クリックケミストリーを用いることで、2つの分子を簡単に結合し、プラスチックの製造、薬剤の研究、農業への応用といった分野で工程を改善するなど、さまざまな目的に利用できることを発見した。

 Sharpless氏は今回が2度目の受賞となる。同氏は2001年、キラル触媒反応の研究に貢献したとして、他の2人の科学者とともに化学賞を授与されている。スウェーデン王立科学アカデミーによれば、「クリックケミストリー」の概念も、スクリプス研究所でこの手法の開発に取り組んだ同氏が2000年に考案したものだ。一方、Meldal氏の実験は、Sharpless氏の実験とは無関係に行われたものだが、銅触媒によるアジド-アルキン付加環化として知られ、今日ではクリックケミストリーと呼ばれる工程の基礎となる化学反応を開発した。

 Bertozzi氏は、生体直交反応と呼ばれる、生物の細胞上の糖鎖を解析する新たな手法を考案した。同氏の研究は、がん細胞表面の糖鎖を分解し、体の免疫系ががん細胞と闘えるようにする方法の解明に結びついた。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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