ビデオオフでのウェブ会議は意思決定の質が低下--オンラインコミュニケーション協会が検証

 オンラインコミュニケーション協会は9月13日、武蔵野大学(経営学部 経営学科 准教授)の宍戸拓人氏と共同で、オンラインコミュニケーションにおけるビデオON(顔が映る状態)とビデオOFF(顔が映らない状態)の影響を検証したと発表した。

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 昨今、新型コロナウイルスの影響により、ビジネスや教育現場などのさまざまなシーンにおいて、オンライン上(Zoom、MicrosoftTeams、CiscoWebexなどを使った)のコミュニケーションが増えてきている。

 しかし、ビジネス現場においては、プライバシー保護やセキュリティ、通信負荷軽減の観点から、ビデオをOFFにしてコミュニケーションを取るシーンも多く見受けられるという。

 そこで同協会では、対面での対話シーンであれば無意識的に視覚から得られていた情報(表情や仕草といった非言語情報)が、ビデオOFFにすることで不足した際に及ぼすコミュニケーション上の影響について考察した。

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 今回行った検証は、男女14グループ(46人)を対象に、Web会議サービス「Zoom」を活用。「ビデオON」と「ビデオOFF」の2つのパターンで、対話における意見対立や合意形成にかかる時間および、意思決定の質について比較検証を実施した。

 まず、ビデオOFFでは、メンバーの多様性を原因とする意見対立を避け、合意まで時間がかかり、結果として意思決定の質が悪化するという結論が得られた。

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 また、ビデオOFFの場合は、年齢が多様なほど、意見対立を回避する程度が高まる傾向にあったのに対して、ビデオONの場合は、年齢が多様なほど、対立を回避しない傾向が強まっているという。

 加えて、ビデオOFFの場合、グループに性別の異なる人が加わるほど、合意にかかる時間が長くなる傾向にあり、合意にかかる時間が長くなるほど、スコアが悪化する傾向にあることも判明した。

 ビデオONの場合は、課題の内容について意見をぶつけ合えるほど、居心地の良さと信頼を感じる傾向にあり、居心地の良さと信頼を感じられるほど、スコアが改善する傾向にあるという。

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 同協会では、ビデオをOFFにして対話することが意見対立、合意形成にかかる時間、意思決定の質に影響を与えることが明らかになったことから、「新入社員の配属直後および、育成期間における成長の鈍化」や「10代〜20代の若手社員を抱える組織・部署におけるメンタルダウン・早期離職の要因になる可能性」といった、想定シーンとビデオOFFでコミュニケーションをとった際に懸念される影響についても考察。

 ビデオOFFが主流であることを理解しつつも、ビデオOFFにすることで、コミュニケーション上ネガティブな影響が起こる可能性があるということを、共通認識としてもってもらい、状況に合わせたビデオON/OFFの使い分けを期待しているという。

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