京都大学などの研究チームは、仏教の精神世界をメタバースで表現する「テラバース」を開発すると発表した。試作品として、「仏陀(ブッダ)」と対話できる拡張現実(AR)サービス「テラ・プラットフォーム AR Ver1.0」を開発した。
テラバースでは、仏教の伝統知と、ARや仮想現実(VR)、人工知能(AI)といった技術を融合し、人間を物理空間の制約から解放する「重層的な精神世界を構築していく」。なお、テラバースの「テラ」には、10の12乗である1兆、つまり「Tera」のほか、「寺院」の「寺」という意味も込めている。
試作品のテラ・プラットフォームAR Ver1.0は、スマートフォンのカメラを通して見た現実空間上に、仏教対話AIのアバター「ブッダボット」を呼び出せる。ブッダボットは対話機能を備えており、質問をすると仏教経典に基づいた回答をするという。AIの学習に使った経典は、「スッタニパータ」と「ダンマパダ」。
テラ・プラットフォームARには、スマートフォンで取得できる位置情報に応じて仏教系アバターを出現させる、サイバー空間にアバター寺院を建立して参拝できる、といった機能の追加が考えられる。さらに、現実空間にある本物の寺院と、その寺院に所属するサイバー空間の「アバター支院」を同期させ、両空間で同じ行事に参加してもらう、という活用も可能だ。
なお、悪用されることを防ぐため、当面は学術利用、モニター利用の目的で提供し、一般公開はしない。さらに、テラバース上で展開する仏教マテリアルは信仰の対象なので、慎重に取り扱う必要がある、としている。
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