テキサス州に本拠を置く衛星通信会社AST SpaceMobileは米国時間9月10日、SpaceXのロケット「Falcon 9」で試験衛星「BlueWalker 3」を打ち上げる。スマートフォンが直接接続できるセルラーブロードバンド信号を提供するための巨大な衛星コンステレーションを地球低軌道(LEO)に展開する計画だ。
Elon Musk氏が最高経営責任者(CEO)を務めるSpaceXは、米フロリダ州ケープカナベラルのケネディ宇宙センターからブロードバンド衛星「Starlink」を軌道に打ち上げる計画だ。ASTはこのミッションでBlueWalker 3を宇宙に送り出す。
BlueWalker 3の登場を受けて、多くの人は宇宙ベースの携帯電話ネットワーク市場の急成長に沸き立っているが、一方で天文学者らは、新たな時代の衛星メガコンステレーションが宇宙の科学的観測に与え得る影響について懸念を抱いてもいる。
天文学者らが問題にしているのは、BlueWalker 3の64平方メートルにも及ぶ巨大な太陽電池アレイだ。ASTは最終的なサービス衛星「BlueBird」について、さらに大型化した上で100基以上を打ち上げたいとしている。
Made in TX — size matters! #BlueWalker3's 693 sq ft array would be largest-ever commercial comms array in LEO. We're building the first & only cellular broadband network in space backed by 2,400 patent and patent-pending claims. Removing before-flight tags today!!!#5Gpic.twitter.com/Vx4oNVNYCK
— Abel Avellan (@AbelAvellan) August 31, 2022
BlueWalker 3はアレイの片側に多くの太陽電池が搭載されており、エネルギーを集めて反対側のアンテナに電力を供給することで、地球上の特定の地域にネットワーク通信が可能な「セル」を形成できる。この技術は地球低軌道の幾何学的形状を利用するもので、いわば世界で最も高い携帯電話電波塔のように機能する。
ASTは、まずテキサス州とハワイ州でシステムをテストするための認可を米連邦通信委員会(FCC)から受けている。
今後数カ月の間にBlueWalker 3が地上のスマートフォンに接続する機能をテストするとしており、天体観測を楽しむ人たちはこの衛星の明るさを追跡して記録することになるだろう。
天文学ファンのAnthony Mallamaさんは、米アマチュア天文学誌Sky & Telescopeのサイトで「地上の観測者は、この構造物から反射される明るい太陽光を目にするだろう」と述べ、天文学者らに衛星が頭上を通過したときの明るさを記録するよう求めている。
最終的なコンステレーションには、BlueWalker 3の試験衛星よりさらに大きなアレイが搭載された衛星BlueBirdが100基以上含まれる可能性がある。ただし、ASTは先ごろ、第1弾となる運用衛星を小型化する予定だと発表している。
BlueWalker 3は現在のところ、10日にケネディ宇宙センターからFalcon 9で打ち上げられる予定だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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